前足から流血の子猫を保護、カッターナイフを握りしめた男が立ち去る姿…虐待か? 獣医から「切断の可能性も」と宣告

「子猫が迷い込んでいる」

滋賀県大津市内の美容室から保護猫活動に取り組む写真家の三吉良典さんのところに保護依頼の連絡が入りました。その日は夜で緊急性のない状況だったため、翌日現場に向かったという三吉さん。2時間ほど美容室周辺を歩き回り探しましたが、子猫は見つからず…引き上げようと片付けを始めようとしたその時、近くのショッピングモールの裏でうずくまっている男性の姿が目に入りました。

体調不良で座り込んでいるのかと思った三吉さん。男性に「大丈夫ですか?」と声を掛けたところ、左手にはスマホを、右手にはカッターナイフを握りしめていました。男性は何も言わずその場を走り去り、そばには悲しそうな声で鳴きながら左前足をなめていた子猫の姿が…。

「当時は目の前で何が起きているのか状況が理解できず。子猫に何かがあったことには違いないとすぐに保護しました。子猫の左前足の出血がひどく、持っていたコットンで止血をするなど応急処置。帰宅後に出血は止まったものの左前足だけグローブのようにはれていて、ずっと尻尾を巻いたまま、かなしそうな声で鳴いていました…」

■止血後に動物病院へ急行 獣医「刃物のようなもので切られている」

止血後、子猫を連れて動物病院に急行。そして、傷口を診た獣医師から「(左前足は)刃物のようなもので切られています」と告げられました。

「刃物のようなもので切られている…と聞かされた際、男性が持っていたカッターナイフのことを思い出し、あの時切られたんだと思いました。獣医さんいわく、『キツネなどの天敵であれば、こんな小さな子猫はくわえて安全な場所に運び全て食べ尽くします。左前足だけは考えられにくい。事故にしても、こんな小さな子が左前足だけひかれるなんて考えられません』と、虐待の可能性が高いとのこと。また傷はかなり深く、『壊死するかもしれないので、このままの状態では切断も考えなければ』とも言われました」

突然、何者かに左前足を切られ、切断の可能性もあると告げられた子猫。その傷口には砂などが入り込んでいたため、入念に洗浄・消毒をしてもらいましたが、その痛さに子猫は鳴き叫んでいたそうです。そんなつらい痛みに耐える子猫を連れて帰り、三吉さんは必死にお世話をしたといいます。

「子猫を『アメ』と名付けました。生後1カ月過ぎの遊びたい盛りの男の子。それでもまずは安静にしなければいけないので、ふかふかの毛布を敷き、走ったり飛んだりしないように狭いお部屋を作りました。常に出血していないかを確かめるため、ほぼつきっきりに。また足を切断させたくないという思いから、再診までの1週間心を鬼にして毎日消毒を続けました。消毒の際はものすごい声を出して痛がり、この子が人間のことを大嫌いになりそうで本当に心が痛みましたが…次回の診断までできる限り抱きしめたり、緩く遊んだりして心のケアも同時に頑張りました」

■切られた左前足「壊死するかもしれない」 再診の日までに毎日の消毒…痛みに耐えた子猫

そして、再診の日。獣医師から「大丈夫です。手術の必要はありません。三吉さんもアメさんもよく頑張りました」と言われたそうです。アメちゃんの左前足を切断しなくていいと聞いて、とても安心したという三吉さん。泣きながらアメちゃんをギュッと抱きしめました。とはいえ、足を切られたとみられるアメちゃんはしばらく人間不信に。そのため三吉さんは半年以上、人を信頼させるために愛情を注ぎました。

「最近アメのように虐待や虐殺など猫ちゃんに対しての悲しい事件が増えてきました。私は以前からSNSを通して訴えているのですが、日本は世界から見ても動物愛護後進国と言われています。虐待した人物に対してもあまりにも罪が軽く、ほとんどが罰金で終わります。ブリーダーやペットショップに対しても、緩い制限しかありません。私のような個人ボランティアや団体ボランティアが訴えても警察や行政はなかなか動いてくれません。日本が動物に対しての意識が変わるのはまだまだ先かもしれませんが、10年後20年後の未来を信じ、『自分にできるコト』を頑張り続けたいです。

最後になりましたが、アメに対して温かいお言葉をくださった皆さま、本当にありがとうございました。保護した当時は生後1カ月ほどだったアメも、生後8カ月くらいで里親さんが見つかりました。アメは今、アトムというカッコいい名前をもらい里親さんの家族として幸せに過ごしています」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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