「しばらく実家に帰ります」と妻の置き手紙 愛想尽かされた夫を描いた漫画が話題「心にしみる」「じんわりきた」

 坂の途中に建つ古びたアパート「小鳩荘」を舞台に、大家さんとさまざまな悩みを抱える住人たちとの交流を描いた短編漫画集「坂の途中の小鳩荘」(イースト・プレス)が注目を集めています。

 作者はイラストレーターで漫画家の曽根愛さん。曽根さんが自身の公式ツイッターに同書の中の一編「204号室 先生は猫がさわれない」を公開したところ「いい話」「心にしみる」「じんわりきた」「こういう話、めっちゃ好き」などの感想とともに拡散。2万超のいいねがつき、作品に興味を持った人たちが単行本を買い求めるという現象が起こり始めています。

■夜のコンビニで出合った生徒に相談

 「204号室 先生は猫がさわれない」のあらすじです。

 小鳩荘204号室に住む塾講師の村上先生は妻と2人暮らし。ある日、仕事から帰宅すると、妻からの置き手紙が目に飛び込んできました。「しばらく実家に帰ります」。普段から自信過剰な村上先生。妻に愛想を尽かされた理由が思い浮かびません。「仕事もできるし、家事もできる、文句のつけようがない。なぜだ、なぜなんだ。なぜ俺のメールに返事をよこさない」。心の中で妻に悪態をつき、しまいには心変わりの原因を古いアパートのせいにします。

 1カ月以上経ったある夜、村上先生は気晴らしにコンビニに寄り道し、イートインスペースで塾生徒の吉野君と出くわします。吉野君も医師の父や優秀な兄のもと、自身の本当の夢を明かせずに悶々と生活していました。境遇が似た2人はいつしか「コンビニ仲間」に。お互いに悩みを打ち明けますが、村上先生は吉野君の話を聞かずに自分のことばかり。さらに悪びれることなく思いやりのない言葉を発し、吉野君に「そういうとこー!!」と突っ込まれる始末。そして、ついにある出来事から吉野君の怒りが爆発し、村上先生は初めて自分の非に気付かされます。

■作者「少し気持ちが楽になったら」

 曽根さんはまいどなニュースの取材に対し「日常の何気ない一コマを切り取った割と地味な作品なので、こんなにたくさんの方から多くの反響をいただき驚いていますが、とってもうれしいです」と喜びを語りました。

 また、ツイッターで初めて作品を知り、手に取った人たちには「居場所がない、社会になじめないと感じている時に、ここに自分の気持ちをわかってくれる人がいる、と思って読んでもらえたらうれしいです。また私自身が悩みがちな性格なので、そんな方が読んで少し気持ちが楽になったらいいなと思います。作品の発表がゆっくりなので気長にお付き合いいただけたらうれしいです」とメッセージを寄せてくれました。

 書籍の担当編集者によると、同書は2021年4月発売。今回、ツイッターで拡散したことにより、ネット書店への注文数が目に見えて増加しているといいます。発売から1年以上経ってからの動きに「とてもありがたいことです。恒久なテーマの作品なので時代や流行に左右されずに愛されてもらえたらと思っております」と話しました。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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