通勤中の徒歩15分でも熱中症に、医療従事者による体験記にSNSが注目「違和感に気付くお手伝いになれば」

一部地域では気温40度を記録するなど、暑さが猛威を振るう今日この頃。そこで気をつけねばならないのが熱中症です。熱中症とは「高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節・機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態」(厚生労働省のサイトより)を指し、重度になると命の危険もあることから対策が叫ばれています。

そしてツイッターでも、熱中症の経験談を語った注意喚起の投稿に7.7万いいねがつくほど話題を呼んでいます。投稿者で医療従事者の八汰さん(@yatuda_yata)は、6月末のある日、通勤途中に15分ほど歩いていたところ熱中症になってしまったそう。熱中症は知識があっても、環境や体調など条件が揃えば誰でもなる可能性があります。投稿を踏まえて、八汰さんにお話を伺いました。

■「体感的にはそこまで暑さは感じなかった」

この日、八汰さんの職場付近は曇りで、気温30度・湿度82%で無風。八汰さん曰く、「体感的にはそこまで暑さは感じなかった」そう。この日はお昼からの出勤で朝に食事を摂り、水分をこまめに摂りながら出勤中に軽いお昼ご飯を食べていたといいます。通勤方法は徒歩→電車→徒歩で、格好は通気性の良い服と帽子を着用。徒歩時間が短いこともあり、日傘は持っていなかったそうです。

最初に症状が現れたのは、電車を降りて歩き始めて5分ほどのところ。立ちくらみ(熱失神)と手足の痺れでした。再び歩き出して更に5分ほどしたところで異様に体がだるくなってきましたが、職場まであと少しなので近くのコンビニで追加の水分を購入し、引き続き歩きました。

ところが、次第にめまい、耳鳴り、頭痛がひどくなり、職場に着いた途端に嘔吐。先輩職員からの「熱中症? 症状は何が出てる!?」の問いに返答しようにも呂律が回らなかったという八汰さん。当時を振り返り、「2度(の熱中症)で、中等度の軽度意識障害」だったと推測します。

その後は適切な処置によって、起き上がれるようになったそう。スポーツドリンクと水を約4時間で2.5リットルほど飲み干すも尿意は催さず、「そのくらい体が枯渇してたんだなぁとゾッとしました」と八汰さん。その後は手足の痺れが若干残りつつも仕事をしたそうです。

■「(当日の)体調は変わりなかった」

ーー前日やその日は体調が悪かったのでしょうか。

「その日は猫が珍しく玄関に立ち塞がって来ましたが、私の体感的には体調は変わりなかったと思います」

ーー倒れられてからどれくらいの時間で快方に?

「倒れたと言っても失神したわけではなく、体に力が入らなくなっていました。職場についてすぐに保冷剤とスポーツドリンクで体を冷やしましたので、30分くらいで朦朧としていた意識がはっきりして1時間程度で普通に歩けるくらいになりました」

ーーご無事でよかったです。反響が大きかったですが、読者の方に伝えたいことがあれば教えてください。

「沢山の人が気をつけなきゃ、とリプライをくださったり呟いたりして下さっていて、関心の高さを感じました。ただ、気をつけていても気温や湿度や体調次第で熱中症になってしまう時はなってしまうので、これを読んで『そういえば自分も今変だぞ』と違和感に気付いて、重症化する前に早期に体を冷やしたり休憩したり、水分補給をするという行動に出ることが出来る、そのお手伝いになれればいいなと思います」

■熱中症を防ぐには?

熱中症は大きく1~3型に分けられ、1は立ちくらみや手足の痺れなど、2は頭痛や吐き気、判断力の低下など、3になるとけいれんや手足の機能障害などが起こり、最悪の場合死に至るケースもあります。

それでは、どのように対策すればよいのでしょうか。厚生労働省のサイトによると、屋内では「扇風機やエアコンで温度を調節/遮光カーテン、すだれ、打ち水を利用/室温をこまめに確認」。屋外では「日傘や帽子の着用/日陰の利用/こまめな休憩/天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える」などが挙げられています。

また、通気性の良い、速乾性のある服を着用するなど、衣服でも工夫が可能です。最近ではネッククーラーや衣類に振るクールスプレー、叩くと凍る瞬間冷却剤など便利な冷却グッズがあるので日中外に出る際は活用してみてください。もちろん、こまめな水分・塩分補給も欠かさずに。

もし近くに熱中症を疑われる人がいた際は、冷房が効いた空間や屋外なら日陰など涼しい場所に避難させる、水分・塩分を補給する(スポーツドリンクなど)、保冷剤などで体を冷やす(首周り、脇、鼠径部などが効果的)。厚生労働省のサイトでは、「自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう!」とも呼びかけています。

改めて、熱中症はそれまでの体調に問題が無くても、熱中症に関する知識があっても、その場の環境次第で誰にでも起こりえるものです。さらに、体温調節機能が発達していない子どもや、暑さやのどの渇きに気づきにくい高齢者、障がい者、障がい児には特に注意が必要です。

高温多湿の環境で長時間過ごすことは熱中症の可能性を高めます。節電が叫ばれる昨今ですが、冷房や扇風機を活用して酷暑を安全に乗りきりましょうね。

(まいどなニュース・門倉 早希)

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