まるで白いお餅みたい…先住猫の命も救った“福の神”は元保護猫 目が塞がり皮膚もボロボロだったけれど

■警察官、子猫を保護

花丸くん(3歳・オス)は、2018年5月26日、パトロールをしていた駐在さんに保護された。女の子が1匹、男の子が2匹で全部で3匹いたという。本来なら警察署に連れて行き、飼い主が見つからなければ保健所に連れて行かれるが、保護した駐在さんが、あまりにも人懐っこいので、誰か里親になってくれる人はいないかと探していたそうだ。

その日の朝、大阪府に住む智さんが仕事に行く支度をしていると、インターホンが鳴った。近所の人と町の駐在さんだった。

「朝から何事かと思ったのですが、猫を保護した警察官から話を聞いた駐在さんが、私が猫の里親になっていると聞いて、『1匹でも飼ってもらえる人はいないか、心当たりはないか』と訪ねてこられたのです」

智さんは、仕事に行かなければ行けなかったので、ひとまず近所の人に子猫を預かってもらうよう頼んだ。

■もう1匹見つかった

仕事の帰りに子猫たちを連れに行くと、3匹とも猫風邪をひいていて、まぶたが塞がっていた。さらに皮膚は真菌にやられてはげていたという。智さんは、子猫たちを動物病院に連れて行き、治療をしてもらった。

翌日、同じ場所でもう1匹男の子の子猫が見つかり、「きょうだいだと思うんやけど、この子も引き受けてもらえないか」と駐在さんに頼まれた。

「もう3匹も4匹も同じだ、と思い引き受けたのですが、この子は駆虫が済んでいるきょうだいと一緒にするわけにいかなかったので、2日間隔離しました。すごく寂しがって、四六時中鳴いていました」

ガリガリに痩せた身体で、精一杯声を振り絞って鳴く子猫。それは悲痛な叫びのようだった。隔離が終わり、きょうだいと一緒にするとたいそう喜んだという。

■うちの子にしてもいいかな

気をつけてはいたが、智さんに真菌がうつり、先住猫にも広まった。これにはかなり手を焼いたそうだ。最後に保護された女の子と花丸くんは猫風邪がひどく、ごはんを食べられないこともあった。それでも少しずつ良くなって、花丸くん以外の3匹は無事里親が決まった。

先住猫の大福くんは残った花丸くんの面倒をよく見てくれた。

「どういう心境なのか分かりませんが、花丸の部屋の入り口にせっせと雑巾用にストックしているタオルを運んでいました。プレゼントのつもりだったのでしょうか。花丸も大福によく懐いて、尻尾で遊んでもらっていました」

智さんは、「こんなに仲良くなれて、面倒も見てくれるなら、花丸はうちの子にしてもいいかな」と思ったという。結局、花丸くんは声がかからなかったので智さんが里親になった。

■巨体だから「白い餅」

花丸くんは、先住猫のあんこちゃんが貧血になり、輸血が必要になった時に血を分けてくれた。

「若くて身体が大きい子を連れてきてくださいと獣医さんに言われて、大福と花丸を連れて行ったのですが、大福は型が合わず、花丸に輸血してもらうことになったのです。あの時、花丸がうちに来ていなかったら、あんこに供血してくれる猫はいなかったかもしれません。花丸との出会いに感謝しました」

花丸くんはおおらかで優しい子だという。智さん宅の猫の中で一番大きな猫になり、「白い餅」というあだ名がついている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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