ウチの子はコツコツ作業が得意→プログラマーに向いている その発想、見当違いかも 

プログラマーの適性がSNS上で大きな注目を集めている。きっかけになったのは子供向けにプログラミングを教えているとがさん(@togazo)の投稿。

「よく親御さんらから『ウチの子はコツコツした作業が得意だからプログラミングに向いてるかも』という意見を聞くが、この頃思うに『コツコツした作業を面倒と思わない子』はプラモデルの組み立てなどの細かい作業に対する耐性は高そうだが『ラクをするために頭を使ってコードを書く』のは微妙な気がする」

「〇〇だから××の専門職に向いてる」…こういった短絡的な思考は実際の専門職の現場を知らない素人がおかしやすい勘違いと言えるだろう。とがさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは数々の共感の声が寄せられている。

■投稿について、共感する声がたくさん届いた

「私の職場には『愚直』という言葉が好きな人が多いのだけど、甚だ疑問なんだなあ。面倒な仕事は機械(コンピューター)使って楽するのがプログラマー。」

「SEの私が1年だけ経理部でお世話になったんですが、まさにおっしゃる通りでした。膨大な目チェックを何の疑いもなくコツコツやってました。そして効率化の為に今の課題はないかと聞いてみても『ない』と即答されました。。コツコツした作業が得意とプログラミング素養は相反していると私も思います」

「わかりみが深すぎるw逆に可読性全無視で『長くてトリッキーなコード書きたいだけの人』までいる始末ww」

「『コツコツ』が曖昧過ぎるのかなと思います。同じ作業を『コツコツ』繰り返すことと、バグをロジカルに『コツコツ』つぶしていくのとでは、プログラミングに向いているかどうかの適性評価は真逆になりそうです。」

■投稿者に詳しく話を聞いた

とがさんにお話をうかがってみた。

ーーコツコツ×プログラミング以外にも適性が誤解されがちだと思う組み合わせはありますか?

とが:「コツコツ」のような性質ではありませんが、「ビデオゲームで遊ぶことが好きだから、プログラミングすることも好き(向いている)に違いない」という声はよく聞きます。

しかし、プログラミングしてゲームを作ることは多少なりとも手間がかかります。今の時代、ゲーム専用機を買わなくてもスマホやタブレット端末さえあれば無料で遊ぶことのできるゲームが選びきれないほど出ています。手軽に遊ぶことができますから、わざわざ自分で手間のかかるゲーム作りに興味を持つとは考えにくいでしょう。

ーー真にプログラミングに向いてる性格はどんなタイプだと思われますか?

とが:そもそも個人の趣味でプログラミングを楽しむだけであれば「真に向いている」かどうかを考える必要はないと思います。

逆に職業プログラマーの場合は、各現場で求められる資質や技能がありますから、それにマッチする、しないという意味で向き不向きがあると言えるのではないでしょうか。いずれにしても、一概に「これだから向いている」というのは難しいと思いました。

ーーこれまでのコメントや反響へのご感想をお聞かせください。

とが:これまでは反響があると思ったら、誤字脱字の粗探しや揚げ足取りして面白がられてばかりでした。「今回もきっとまたそれだろう」と思ったら様子が違いさまざまな意見が寄せられました。過去一番の反響があったこととのダブルで驚きました。

今回の投稿は、ボランティアのプログラミングクラブや営利のプログラミング教室で数年前に実際に起きたいくつかの出来事を個人情報に配慮してふんわりまとめたものでした。そのせいか、読み手の想像の余地がたくさんあって反応しやすかったということでしょうか。

ほんの一部しか目を通していなくて恐縮ですが、一連のスレとさらにその前後を読んだ上で感想を書いて下さる方や、あくまで「その部分」だけ読んで感じたこと思ったことを自由に書いている方、感想の感想しか読まずに書いていると思われる方など、色々と観察することができて楽しめました。

特に、子供が趣味でプログラミング(をする)話だったにもかかわらず、職業プログラマーの集合研修か何かを想像して反応している方が多かった点が印象的でした。

◇ ◇

読者のみなさんはこんな早とちりをしてしまっていることはないだろうか?物事を判断する時はイメージだけではなく、一歩踏み入って考えようという心構えが必要だろう。

なお、今回の話題を提供してくれたとがさんはこの反響に乗じて「CoderDojo」の認知を世間に広げたいとのこと。CoderDojoは有志のボランティアによる無料の子ども向けプログラミングクラブとその世界的ネットワークの総称。世界117の国と地域で開かれており、日本国内にも200以上のDojoがあるそうだ。

「これから新しくDojoを立ち上げる人や既に活動中のDojoに参加するボランティアの人が更に増えれば、結果的に子供たちの受け入れ間口が広がる上に、同じ活動をしている仲間が増えるので、大変嬉しく思います」ということなのでご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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