肉球を火傷していた子猫…助けたいけれど「自分たちは高齢者」 幸せにする義務があるから…下した決断は

ペットと一緒に暮らすと、生活に張り合いが出るもの。しかし、飼い主が高齢者の場合は簡単にはいきません。60代後半にもなると、自分がペットより先に逝く恐れも…。

大阪府で暮らすA夫妻も60代後半。元々A夫妻は犬と暮らしていましたが、その子は2020年9月に虹の橋のたもとへ。寂しいものの、自分たちの年齢を考えると新たにペットを迎える勇気はありませんでした。

そんなA夫妻があまりにも寂しそうに見えたのか、知人が保護猫の預かりボランティアを勧めてくれたのです。A夫妻は若いころに猫と暮らしていたので、喜んで引き受けます。でも、すぐ里親さんが見つかってしまう。楽しい時間を過ごした分、猫を見送ったあとは大きな寂しさが残りました。

そこに1匹の白いオスの子猫を保護したと、娘から連絡がありました。生後約2カ月で、娘の知人が住むマンションに箱へ入れられて捨てられていたのだそう。肉球にコールタールのようなものがついていて、火傷をしています。とても弱々しく、ちゃんと育つのか心配なほど小さい。けれど、一生懸命生きようとする姿が愛おしく、何よりバツグンに可愛い面立ちです。

娘は言いました。

「この子をお迎えしてあげれないかな?」

A夫妻は即決できませんでした。子猫は助けてやりたいけれど、ちゃんと育てられるか不安が大きかったのです。正式に家に迎えるなら、我が子も同じこと。幸せにする義務があります。高齢者の自分たちに、それができるだろうか。もし迎え入れるなら、何をしておくべきか…。夫妻は顔を見合わせ、考えました。

考えた結果、娘にお願いをしました。

「私たちに何かあった時、必ずこの子を引き取ってほしい。そうでないと迎えられない」

娘は快諾してくれました。こうして子猫はA家の一員となったのです。

さあ、子猫とA夫妻の暮らしが始まります。名前は「みりみり」と名付けられました。これはハワイの言葉で「大切」「愛おしい」「可愛い」という意味。A夫妻の子猫への思いが全て詰まった名前です。

愛おしいものの、A夫妻は少し手こずっていました。みりみりちゃん、実は社会性が全然ないのです。傷が治るとわがまま全開!A夫妻はどう接すれば良いのか、悩んでいました。

そこにまた預かりボランティアの依頼が。やってきたのが、みりみりちゃんと月齢が変わらない2匹の子猫。生まれた時から人間と暮らし兄弟もたくさんいますから、コミュ力の塊のような子猫たち。

当初、みりみりちゃんは我関せずで、今まで通りわがままを押し通そうとしました。しかし、それが通るのはA夫妻相手だけと気付くのに時間はかかりません。玩具で遊ぶのは順番、相手が悲鳴を上げるまで噛んじゃダメ。そのような基本的な社会性を、子猫たちにみりみりちゃんは教えてもらいました。

数週間、子猫たちと過ごし、社会性を身に着けたみりみりちゃん。子猫たちを新しいお家へ見送ってから、少し考えたようです。誰が自分の家族なのか。ふと見上げると、優しい笑顔のA夫妻の顔がありました。

「あ、ここがボクんちなんや」

ようやく安心できたのかみりみりちゃん、A夫妻にベッタリ甘えるようになったのです。以前のようにガーガー我がままを言うだけではありません。お父さんのお見送りやお出迎えもしますし、お母さんの家事も見守ります。「ダメ」と言われたことには、耳を傾けるようにもなりました。

色んなことにチャレンジもするんですよ。どれだけ高いところに登れるかは、日々記録を更新中!下りる時は、A夫妻を呼びます。

「頑張ったので、おろしてほしい」

A夫妻はこんなみりみりちゃんが可愛くてたまりません。はたから見ると甘やかし過ぎというぐらい、ベタベタの甘々でみりみりちゃんを可愛がります。気が付けば、沈んでいた日々はどこかへやら。笑い声があふれ、いつもニコニコ顔です。

「みりみりを助けたつもりでしたが、私たちが助けられています」

高齢者だからといって諦めていたら、この暮らしは手に入りませんでした。娘のサポートと様々なご縁に感謝をし、A夫妻は幸せを噛みしめています。みりみりちゃんといつまでもお幸せに。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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