ペットのお葬式のために…長男が通う高校のイキな計らい

 今回はわたしの家族の話。春から高3になった長男が、昨年5月、人差し指ほどの小さな、緑色のメスのカメレオンを飼い始めました。ものぐさの長男がコマゴマお世話して、半年ほどで20センチ超え、爬虫類ぎらいの父親としては、あまり近寄りたくなかったのですが、初めて飼うペットを長男はいたく可愛がっておりました。

 ところがそのカメレオン、今年に入ってだんだん弱ってきまして、爬虫類も診るという獣医さんを探し回って連れて行ったところ、無精卵を宿しているらしく、それが原因なのかさらに食欲が落ち、原因不明の感染症でかわいそうなことに2月の初めに死んでしまいました。

 長男にとっては初めての、身近な「死」との直面です。親としてはきちんと供養してやろうと、ペット専門の葬儀業者に依頼し、翌日火葬釜を搭載した特殊なトラックが我が家を訪れ、人里離れたところで火葬して、骨まで拾わせてくれるというパッケージをお願いしました。

 さてそうなると、お休みを学校にどう伝えるか。そこそこの進学校ですので、ペットと勉強とどっちが大事だ、と怒られるかもしれません。仮病を使うか、正直に言うか、今度は私ども親の悩みどころです。でもちょっと待てよ、長男が通う学校は、もともと仏教の宗教法人が設立した私立校です。ペットといえども生命の価値は同じ、ここは正直に先生に伝えようと。

 時は過ぎ、3学期が終わって通知表が帰ってきました。成績が惨憺たる事はいつも通りでしたが、それより出席日数の欄に「忌引き:1」とあります。おい、これってカメレオンのことだよな…。なんとイキな計らいでしょう。それが契機なのか長男は獣医を目指すそうです。何年かかることやら。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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