キングペンギンのヒナが「ギャランドゥすぎる」と話題 実は大人になるための過程、旭山動物園に聞いた

北海道にある「旭山動物園」の動物たちの様子を24時配信する「Live Zoo In あさひやま」のツイッターアカウント(@24h_live_24h)のある投稿が話題を呼んでいます。

それは、6月に孵化したという「キングペンギン」の写真を載せたツイート。黒と白の毛色が美しいペンギンですが、お腹や胸にはフワッフワの羽毛が立派に生えています。ツイートには「立派にモジャってる!」「かわいすぎて笑ってしまった」「胸毛ボーボー」「ギャ、ギャランドゥ!?」などたくさんのコメントのほか、1.5万いいねがつきました。

この毛の正体はなんなのか。もしかして本当に胸毛やギャランドゥ(※)なのか、 ペンギンにも生えるのか…、旭山動物園の担当者に聞きました。

(※)ギャランドゥ へそ周り、下腹に及ぶ体毛を指す通俗的な呼称。同名曲でヒットを飛ばした故・西城秀樹さんのへその下の毛が語源で、ラジオで松任谷由美さんが発言し、広まったという説が有力とされる。

■茶色の毛はお腹に生えているのではなく…

ーーこの毛の正体はなんなんでしょうか。

「『幼綿羽(ようめんう)』と言います」

ーー幼綿羽?

「ヒナの間の羽毛は茶色の幼綿羽で全身が覆われていて、幼綿羽には保温の役割があります。ひなは生まれて10日くらいで全身に茶色の幼綿羽が生え、孵化後9ヶ月くらいすると大人のカラフルな羽毛に生えかわります。写真はその羽毛が生えかわる途中の様子です。茶色の毛がお腹に生えているのではなく、もうすぐ抜ける羽毛です」

ーーじゃあいずれこの姿ではなくなるんですね。幼綿羽が生えるのはキングペンギンだけですか?

「ペンギンの種類によって羽毛の色は違うのですが、どれも同じように全身にフワフワの幼綿羽が生えます。ちなみに、キングペンギンはペンギン18種類中2番目に大きな種類で、南極周辺の島々に分布しています。体重は15キロくらいです。ヒナの羽毛はどの個体も同じくらい生えます。写真の個体が特に多いというわけではありません」

ーー何月ごろに動物園に行けば、写真のような状態が見られるのでしょうか。

「キングペンギンは子どもの時期が長く6~8月に生まれて、3~5月までに大人になります。毎年ヒナがいるわけではありませんが、その約9ヶ月の間に来ていただくと見ることができます」

ーー来園者にも人気ですか?

「人気があると思います。来園者の方からは『かわいい』や、ヒナが『親より大きい』などの感想をいただいたことがあります」

ーーこのペンギンに会いたいのですが、何という名前ですか? オスメスどちらでしょう。

「雌雄はまだわかりません(※)。名前はありませんが、51番という番号をつけています。人工育雛(人工で育てた)のため、性格は人なつこいです。外見的には、ヒナから大人になった1年目は、他の大人と比べるとクチバシの色が黒っぽいところと、頭部の黄色い部分の色が薄いところで見分けられます」

※編集部注 ペンギンは雄雌で見た目にほぼ差がなく、外見だけで判断するのが難しいそう

ーーほかにもペンギンの変わった姿があれば教えてください!

「『変わった姿』かどうか分かりませんが、大人のペンギンも毎年2月から4月くらいに羽毛が生えかわります。全身の羽毛が短期間で生えかわるため、初め羽毛が浮いてモコモコした姿から徐々に抜けていく姿を『毛が生えている』と来園者の方が話すのをよく聞きます。抜けかけている羽毛が生えているように見えるようです」

ーーありがとうございました!

◇ ◇

茶色いフワフワの毛は胸毛でもなければギャランドゥでもない、ペンギンのヒナ時期に生える羽毛でした。幼綿羽に包まれたヒナのときはキウイフルーツのような見た目でこれまた愛らしい姿…。首と胸にオレンジ色の部分があるのが特徴的なキングペンギン。水族館や動物園に行った際は探してみては。

(まいどなニュース・門倉 早希)

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