社長の「輩出率」…最も高い都道府県は? 「堅実・実利を尊ぶ県民性」で知られる四国の県が1位に

全国の都道府県の中で、社長を多く輩出しているのはどこでしょうか。東京商工リサーチの「社長の輩出率、地元率」調査によると、2021年の都道府県別人口をもとに計算した社長の「輩出率」は、徳島県が1.35%で1位となりました。ちなみに出身地別の社長の人数は、東京都が7万1657人で1位でした。

調査は2010年から行われており、今回が9回目。東京商工リサーチの企業データベース約400万社の代表者データ(個人企業を含む)から、公開された出身地を抽出、集計したといいます。なお、同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高の大きい企業を優先して集計しているそうで、集計対象外企業は30万4206社あったといいます。

出身地別の社長数は、東京都が7万1657人でトップ。続いて、北海道4万6175人、大阪府4万5076人と続き、人口が多い大都市圏や地方の中核県がランキングの上位を占めているそう。都道府県別の社長数は人口に左右されるため、出身都道府県別の社長数と人口(総務省「令和2年国勢調査」2020年10月1日現在)を対比し、社長「輩出率」を算出したといいます。

都道府県別の社長「輩出率」トップは、徳島県が1.35%(前回1.40%)で5回連続トップ。調査した同社によると、徳島県は「堅実・実利を尊ぶ県民性として知られるほか、ブロードバンド環境の整備を進め、先端産業・ベンチャー企業集積も目指している」地域とのこと。また県の人口(71万9559人、「令和2年国勢調査」2020年10月1日時点基本集計値)は、5年前の平成27年国勢調査から4.6%減少しており、減少率は全国平均(0.7%減)を大きく上回るそう。同社によると「産業や観光・文化等の進行を目的とした『関西広域連合』に四国で唯一参加し、関西圏との距離が近い。そのためか、住民の転出数が転入数を上回り、人口減少が社長『輩出率』首位を守る一因にもなっている」と説明しています。

社長「輩出率」2位は山形県の1.18%。3位は香川県の1.13%、次いで、秋田県1.10%、愛媛県1.02%と続きます。同社によると「いずれも人口減少率が全国平均を上回っている」地域といいます。

一方、輩出率が低いのは、47位が埼玉県(0.26%)。次いで、46位千葉県(0.27%)、45位神奈川県(0.33%)と首都圏が続くといいます。上位県とは対照的に、3県とも人口増加率は1%以上で、同社は「県外からの人口流入が輩出率を相対的に下げた格好となっている」と述べています。

■社長「地元率」は…沖縄県が9回連続トップ

「地元出身者が地元企業の社長を務める」率を計算した社長「地元率」は、沖縄県が92.8%(前回92.9%)で唯一9割を超え、9回連続でトップでした。同社は「もともと離島という地理的条件もあり、観光・公共工事・基地に依存した産業構造で、製造業などの大量雇用の受け皿が課題になっていた。最近は観光関連を中心に、旺盛な開業意欲が地元率を高めたとみられる」と説明しています。

「地元率」2位は愛知県の89.5%。広島県87.5%、北海道87.2%と続きます。愛知県、広島県は中核都市であると同時に、自動車産業など基幹産業の取引先や関連企業などの裾野が広く、同社は「下請け企業などで先代の跡を継いだ同族社長が多い」と説明しています。

一方、「地元率」が最も低かったのは、奈良県の65.9%。次いで、長崎県67.0%、兵庫県67.9%、佐賀県68.5%となりました。

コロナ禍を契機に、地方に住みながら東京の企業に勤務する働き方も認知され、本社を地方へ移転する企業も現れてきています。調査した同社は「地方経済の活性化が進めば、地方での新たな事業創出にもつながる。大企業の東京一極集中に風穴を開け、アフターコロナで地方への分散が定着すると、社長の『輩出率』と『地元率』に変化が起きる可能性も出てくる」と述べています。

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