旭川・女子中学生凍死事件「まず聞き取りすべきは教頭」 小川泰平氏が動かない第三者委に苦言

 今年3月23日、北海道旭川市内に住む当時14歳の中学2年生だった廣瀬爽彩(さあや)さんが雪の積もった同市内の永山中央公園で凍死した姿で発見され、2年以上前からせい惨なイジメにあっていたことが報じられた。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、爽彩さんの15回目の誕生日となる5日に同公園で冥福を祈り、一夜明けた6日、当サイトの取材に対し、夏休み期間中、第三者委員会が加害者側とみられる生徒や学校側の教師ら関係者に事情を聞いていなかったことに苦言を呈した。

 9月に入り、めっきり秋めいた旭川を再び取材で訪れた小川氏は、永山中央公園に足を運んだ。5日で15歳になっていたはずの爽彩さんにとって、最期の地となった場所だ。同氏は持参した花を手向け、両手を合わせた。

 この事件の動きとして、旭川市教育委員会は8月30日に記者会見し、爽彩さんが凍死した背景や経緯を調べている第三者委員会の進捗状況を説明したが、調査開始から約3カ月がたったものの、「資料の読み込みに時間がかかり、焦点となる関係者への聞き取りはまだ行っていない」と釈明している。

 小川氏は「市教委が8月の終わりに会見をするということは、この夏休みの間に、関係者である少年少女や教師たちに話を聞いているものと思っていたのですが、その絶好の機会となるべき夏休みに聞き取りを全然していなかったということは驚がくの一言です」と問題視した。

 会見の中、市教委の担当者は6回開催された第三者委員会で、遺族の要望を聞き取ったほか、関係者へのアンケートや聞き取りの方法を協議したと説明。具体的な内容は「今後の調査に影響が出る可能性もある」として差し控えるとしたが、小川氏は「言い訳にしか聞こえない」と指摘した。

 第三者委員会がまず聞き取りをすべき具体的な対象として、小川氏は教頭の存在を挙げた。8月18日に遺族の代理人が同市内で記者会見を開いて遺族の手記を公開したことで、「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか?どっちが将来の日本のためになりますか?もう一度、冷静に考えてみてください」などと爽彩さんの母親に対して発言したとされる教頭の言葉が報じられ、批判が高まっている。同氏は「だが、肝心の教頭の言葉はない。まずは早急に教頭本人に事情聴取して、その内容を公にする必要があるのではないか」と問題提起した。

 小川氏は「私は中学校まで直接行って、教頭先生にも取材を申し込みましたが断られました。ですから、本当にそんなことを言ったのかどうか確認できません。だからこそ、本当に言ったのか、事実なのかどうかをはっきりさせるためにも、第三者委員会は教頭から話を聞くべきです。私は遺族がうそをつくわけがないと思っていますが、教頭の言い分も聞かなければ公平ではない。発言内容が事実であれば、とんでもないことで、その発言の意図は何だったのかを、教頭という管理職として説明責任がある。その上で、市教委は教頭への対応をしなければならない」と訴えた。

 さらに、小川氏は「私は、イジメを超えた犯罪だと思っていますが、加害者とみられる少年少女たちもその犯罪と向き合う必要がある。これから何十年も生きていく彼ら、彼女らを更正させていくためには大人が力を貸してやらなければならない。その一歩とするためにも、第三者委員会が子どもたちからも聞き取りをして、事実を明らかにする必要があるにもかかわらず、この夏の間、何もしていなかったとは驚きます」と批判。「このまま、このイジメ、犯罪が風化して忘れられるのを待つのではなく、今すぐに真実を明らかにして向き合うことが急務である」と付け加えた。

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