「これはひどい」と獣医師、両目がふさがった子猫を保護 度重なる眼の手術を乗り越え、生き延びた

■室外機の上にうずくまっていた子猫

コロコロちゃん(10歳・オス)は、子猫の時、とある家の道路沿いにあるエアコンの室外機の上にうずくまっていたところを保護された。

大阪府に住む木村さんは通勤途中、2011年6月28日、室外機の上にいるコロコロちゃんを見た。近くに野良猫のたまり場があるので、親猫も近くにいるのだろうと思った。しかし、子猫は翌日も同じ場所でうずくまっていた。「これは何かおかしい」と思った木村さんが近づいてみると、子猫の両目は膿でふさがっていた。

「家には猫のドングリがいたのでちょっと考えましたが、このままでは確実に死んでしまうと思い保護しました」

片手のひらにすっぽり収まるサイズ。目が見えないので抵抗もしなかった。家に連れて帰り、ドングリちゃんとは隔離して、ノミだらけだったので、取れるだけノミを取り除いた。ドングリちゃん用に買ってあった流動食を与えると、食欲はあるようだった。

■里親を探すのは無理だ

翌日、会社に休みをもらって動物病院に連れて行くと、獣医師の第一声は「あちゃ~、これはひどい」だった。左目は角膜に穴が開いていて、右目も癒着がひどい状態。手術しようにも麻酔をかけられなかったので、しばらく目薬だけで様子を見て体力を回復させることになった。生後1カ月過ぎで体重は560グラム、栄養が足りていなかったのか、体毛も少なめでガリガリだった。

名前はドングリちゃんの後に来た子なので、とりあえずコロコロちゃんにした。とりあえず家では大きな段ボール箱がお家になった。

木村さんは、目の治療ができるようになるまでは世話をしようと考えていたが、とても里親に出すのは無理だと感じていた。とりあえず生きて欲しいと思っていた。

■度重なる目の手術

しばらくは目も見えないので段ボールハウスで隔離生活をと思っていたが、考えが甘かった。共働き夫婦なので日中はお留守番。段ボールハウスを閉めて、部屋も締め切って、ドングリちゃんと隔離して出かけたが、帰宅してダンボール箱を開けるとコロコロちゃんはいなかった。部屋中探しまわると、本棚の上の方の本と本の隙間で寝ていた。こうしたことが二度、三度続いたので、小型のケージを購入して隔離したという。

木村さんは、「死ぬかもしれない」と思ってテンパったが、コロコロはどっこい、食欲がすごくて、1週間で体重が750グラムになり、しぶとく生きた。お腹の回虫の駆除も完了し、7月30日に目の癒着を剥離する手術をした。しかし、右目が再び癒着したので10月に再手術をして、11月末に再び剥離手術を受けた。体重は順調に増えて3キロを超えた。

癒着が癖になってしまっているため。2012年5月11日、角膜を人工角膜に置き換える手術をした。わざわざ人工角膜を米国から取り寄せたが、それでも癒着が戻ってしまったので、癒着の治療は断念せざるを得なかった。

2013年ゴールデンウィークには、左目の眼球肥大が進行していたので眼圧が上昇し、コロコロちゃんは左眼の眼球摘出手術を受けた。

「この手術は大正解でした。やはり左目が痛かったようで、手術前のコロコロは走り回るにしても平面的でした。多分、飛んだ場合、着地の衝撃で、目が痛かったのではと思います。術後、動きが目に見えて変わりました。キャットタワーの高いところに飛び上がったり、高いところから飛び降りたりするようになりました。運動量が桁違いです」

いまは、定期的に検査を受け、目薬は2種類を各2回、毎日差している。

■先住猫が亡くなると甘えん坊に

コロコロちゃんは頻繁に手術を受けたが、小さい時から面倒を見ているからか、飼い主に懐いている。先住猫のドングリちゃんとはベッタリ仲良しという感じではないが、共働きで、猫だけで留守番する状況では、結構大きな存在だったのかもしれない。

2013年12月にドングリちゃんが亡くなると、2014年2月ごろ、コロコロちゃんの様子がおかしくなった。ある日、妻が帰宅すると、普段は妻に甘えなかったコロコロちゃんが、まとわりついて離れなくなった。なんとなく挙動不審なところも見られ、木村さんは「これは寂しく感じているのではないか?弟を迎えた方がいいのではないか」と、妻と話をした。後に3匹目の猫、庄之助くんを迎えることにしたという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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