脳を揺さぶるような感動を… ラーメン女王・梅澤愛優香が新たに手がける話題のつけ麺店「中華蕎麦 沙羅善」

芸術作品のような端正なビジュアル、非のうち所の無い鮮やかな味わいのつけ麺を格調高い和の空間でいただく…。

鎌倉市のつけ麺店「中華蕎麦 沙羅善(ちゅうかそば さらぜん)」がつけ麺ファン、ラーメンファンの間で大きな注目を集めている。

沙羅善の店主は2014年から2015年にかけてAKB48のプロジェクト「バイトAKB」で活躍した梅澤愛優香さん。梅澤さんがプロジェクト終了後に独学でラーメン作りを始め、ラーメン店「八雲」(現・麺匠八雲)を立ち上げたことは有名だが、沙羅善はその梅澤さんが昨年8月に新たにオープンした店舗。つけ麺自体のクオリティーはもちろん、席数わずか6席で完全予約、入れ替え制というシステムもこの店の神秘性を高めているようだ。

梅澤さんはどのような思いでつけ麺づくりに、沙羅善の運営に向き合っているのだろうか。お話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):昨年8月に沙羅善をオープンされましたが、つけ麺というジャンルに挑まれようと思ったきっかけは?

梅澤:お誘いを頂き、千葉県松戸市にある「中華蕎麦 とみ田」さんのつけ麺を食べにいった時に「つけ麺てこんなに美味しいんだ」と感動したのがきっかけでした。それから「私も感動させれる美味しいつけ麺を作りたい」と沙羅善オープンに至る道のりが始まりました。

中将:先日、Twitterで理想のつけ麺を作るまでに試行錯誤があったという投稿をされていました。具体的にはどのような点が難しかったのでしょうか?

梅澤:苦労したことは話が尽きないぐらいに沢山あります。見た目はもちろん、口に運んだ時の鼻を抜けるような麺の風味、舌触りや喉越し、噛んだ際の弾力感や小麦の旨味の広がりなど、どれか一つでも満足いかなければ何がいけないのか、またそれをどうしたら改善できるのかを徹底的に細かく分析して、納得いくまで作り直していました。食べた時に脳を揺さぶるような衝撃と驚き、そして感動を生む、私が想い描く「理想のつけ麺」を目指しました。

たとえば小麦に水分を与えて練る「水まわし」という作業では、小麦の温度や室温湿度が何度なのか、その時に水の温度が何度であるのがベストなのかを研究しました。条件によっていくつもパターンがありますし、その後にも沢山の工程があるわけですから、ほんとに気が遠くなるような細かい作業でした。

素材にもこだわりを持って厳選したものを使用しています。麺には、今では幻の小麦と言われ生産者や生産数が少ない農林61号という小麦や、小麦の先祖と言われる古代スペルト小麦というとても希少な小麦を使用しています。どちらも独特の香ばしい味わいが引き出せます。またつけダレのベースの豚は、山形県酒田市にある平田牧場さんの金華豚だけを使用して丹念に作っています。

生産者さんから言われたんですが、つけ麺店で農林61号と古代スペルト小麦を組合せたり金華豚を使用しているお店は「沙羅善」が初めてということです。いずれも生産数が少ないこともあって、最初は私が直談判しに行っても商品を卸してもらえませんでした。

中将:つけ麺づくりにかける梅澤さんの情熱が通じたのでしょうね。完成したつけ麺の魅力とは?

梅澤:まず麺の盛り付けですが、黒々とむっちりした極太麺を綺麗に揃い流れるような姿に畳んでおり、一目見ただけで食欲をかきたてられるような見た目に仕上げています。また濃厚なつけダレは、和食のように九条ねぎや生麩を使って綺麗に盛り付けました。そして味わいについては先程お話した通り、私の「理想のつけ麺」となっています。

私の麺づくりは「完成のない完璧な一杯」をモットーとしているので、今お出ししているものが完成ではないですが、常にその時に持つ全力で作った完璧な一杯をご提供させて頂いております。

中将:沙羅善は完全予約で入れ替え制。店舗の内装・外装にも深いこだわりを感じます。お店のコンセプトについてお考えをお聞かせください。

梅澤:完全予約、入れ替え制は実は最初からではなかったんです。開店当初は予約制ではなくお並び頂いていたのですが、その人数が連日開店前から50名ほどになり、お客様を天気や寒暖問わず最大4時間もお待たせすることになってしまい申し訳なく感じていました。また行列が敷地内に収まらず歩道にまで伸びることになり、歩行者や近隣住民の方へのご迷惑を回避しなくてはいけませんでした。いろいろと考えた結果、全ての方にとって良い方法としてたどり着いたのが予約制でした。時間を区切り入れ替え制でご案内することで、より追求したおもてなしをできるようになったので結果的に良かったと思っています。

店の内外装や店内に飾ってある物も、私の好みですがこだわっています。私は歴史の軌跡を巡るのが大好きなんですが、その際に気に入って撮影したお寺や神社などの建物のパーツを内外装に反映して頂きました。飾り物も、あるご縁でいただいた幕末の志士・勝海舟さん直筆の一行書などを飾らせて頂いています。

お店のコンセプトは「和のおもてなし」なんです。現代の日本では簡単に触れることができなくなってきた細やかで行き届いた気遣いや所作をラーメン店に活かし、皆様をおもてなししたいと考えたことが始まりでした。

中将:オープン以来、すごい反響ですね。

梅澤:ありがたいことに連日ご予約で満席となっておりまして、早い日では予約開始から1分程で予約が埋まっております。お客様には本当に心から感謝しています。ご来店頂いたお客様たちから「はじめてラーメンを食べて感動した」「こんな凄いラーメン屋はじめて」「お客のことを考えてくれてるのが凄く伝わる」というお言葉をいただき、私がお客様に伝えたいことをしっかり感じてくださったのだと感激しております。

 ◇ ◇

読者に向け「前を向いてることしかできない不器用な私ですが、今後鎌倉へお越しの際には是非ともお立ち寄り頂けたら嬉しいです。また私がアイドル時代からラーメン店開業をして今に至るまでを綴った著書『ラーメン女王への道』も絶賛発売しておりますのでお読み頂けたら幸いです」と梅澤さん。今後もラーメン女王の麺づくりから目が離せない。

梅澤愛優香(うめざわ まゆか)

1996年、神奈川県大和市に生まれる。高校3年生のときにバイトAKBのオーディションに合格、約半年、アイドルとして活動する。一方で、惣菜調理のバイトをしつつ、独学でラーメンづくりを研究。バイトAKBの契約終了後にさらに精を出し、2017年9月23日、神奈川県大和市の高座渋谷にラーメン屋「八雲」をオープン。順調に客足を伸ばし、2018年には店名を「麺匠八雲」とし、同年10月17日には東京都葛飾区の堀切菖蒲園に「麺匠八雲本店」を開店、東京進出を果たす。2019年にセカンドブランド「煌龍軒」を神奈川県相模原市、東京都大田区の大森に立ち上げ、また誹謗中傷への対抗策として「味のとらや」を横浜市南区の蒔田に開く。その後、つけ麺の魅力に取りつかれ、2020年、神奈川県鎌倉市の北鎌倉につけ麺屋「中華蕎麦 沙羅善」をオープン。現在は麺匠八雲2店と沙羅善の計3店を経営している。

中華蕎麦 沙羅善

店舗所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内115-3

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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