病院に捨てられていた生後間もない子猫 猫カフェで出会った人との不思議な縁で幸せに暮らす

せっちん(1歳半・メス)は、生後間もなく兄弟と一緒に北海道の病院の敷地に捨てられていた。11月の朝は冷え込んでいたが、出勤してきた看護師に発見され、4匹のうち3匹には奇跡的にまだ息があった。しかし、最後まで生き残れたのはたった1匹、せっちんだけだった。

■生まれてすぐに捨てられた子猫たち

2019年11月11日午前6時頃。北海道せたな町にある病院で、出勤した看護師さんが不審な段ボールを発見した。中を覗いてみると4匹の子猫が入っていた。生後1~3日くらいとみられ、残念ながら1匹はすでに息絶えていた。

保護活動をしている人が夕方引取りに来てくれることになったが、それまでは病院の職員が交代で保温しながら、ミルクを与えたという。

その後、3匹はたくさんの人にバトンされ、札幌の凄腕ミルクボランティアさんに届けられた。しかし、最後まで頑張れたのは、三毛猫ただ1匹だけだった。

■どうしても忘れられない子猫

千葉さんは独身時代、猫と犬を飼っていた。猫は10歳を迎えた頃、急性糖尿病になり、インスリン注射を毎日打ちながら16歳まで頑張って生きた。犬は21歳の長寿犬だったが、結婚して夫婦一緒に住み始めた2日後に旅立った。大往生で、眠るように息を引き取ったという。 千葉さんは、両親よりも長く一緒に暮らしていた最愛のペットを失ったことが本当に辛く、二度と動物は飼わないと心に誓っていた。

そして5年後。千葉さんは病気のため子宮全摘出や人工股関節の手術をして、楽しみが少ない毎日を送っていた。2020年2月16日、気分転換で一度行ったことがある猫カフェへ。そこにいたのが、病院で保護されて生き残った三毛猫だった。三毛猫は千葉さん夫婦と遊んだが、疲れて夫の手の平の上で寝てしまった。

「もう可愛くて可愛くてたまりませんでした。すぐに譲渡を希望しましたが、『皮膚の病気があるため、今のところ譲渡は難しい』と遠回しに断られたんです」

千葉さんは家に帰ってからも三毛猫のことが気になって仕方なかった。夫が猫カフェのサイトで名前を調べてくれ、あの猫が「せっちん」だと知った。毎週、三毛猫の様子を聞くために猫カフェに電話し、「皮膚の状態はどうですか?」「名前はせっちんで間違いないですか?」としつこく尋ねた。3回目に電話した時、「じゃあ、会ってみますか?」と言われたという。

「3月15日に再会したら、以前と変わらず元気で可愛らしいままでした。すぐに譲渡が決定し、今日連れて帰っていいですよ!と言われ、なんだか拍子抜けしたのですが夢のようでした」

■不思議な縁

せっちんという名前はミルクボランティアがつけた名前だった。千葉さんは、過酷な境遇を生き延びた生命力のある名前を変えようとは思わなかった 。

せっちんは人見知りもせず、元気でとっても愛らしい子猫で、うちに来てすぐ仲良くなれた。

「夜泣きすることもなく、たくさん甘えてくれました。ただ驚くほどお転婆でした。でんぐり返しや前中転が得意で、スタントマンみたいです」

新型コロナウイルス禍も、せっちんがいるのでとても楽しく、「おうち時間」も充実しているという。 

後に分かったことだが、千葉さんとせっちんは不思議な縁で繋がっていた。実は出身地が同じで、遺棄された病院は千葉さんの父親が最後にお世話になった所だった。父親が亡くなって10年経ち、もうあの病院に行くこともないと思っていたが、つい最近母親がケガをして入院したのがまた同じ病院だった。しかも、入院した当日に病室で母親に「ゆっくり治しましょうね」と声をかけて落ち着かせてくれた看護師が、せっちんを助けてくれた人だった。

「せっちんを助けて下さったことに、やっと『ありがとう』と言えました。看護師さんが『あの時は本当に必死でした』と。素晴らしい方のおかげで幸せです」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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