「肉福袋」と聞いて何を連想しますか?巣ごもり需要と企業努力で食肉専門店の売上前年比5割増

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式の変化でクローブアップされている「巣ごもり需要」。日々の生活にとって不可欠な「食」においては、飲食店の時短営業や休業、会食自粛の呼びかけなどで外食が控えられることにより、それまで飲食店に投資された金額や時間は「家での食事」に費やされることになる。そこで需要が高まるのが、食材を扱う業界だが、その中でも、今、注目されている精肉店に話を聞いた。

 福岡県で行列ができる食肉専門店「あんずお肉の工場直売所」。今年1月29日の「ニクの日」に、東京初出店となる「勝どき店」をオープンした。運営するアトム株式会社(本社・福岡市)では、「和牛オリンピック」で3大会連続日本一となった黒毛和牛「宮崎牛」の中でも最上級A5ランクのみを「一頭買い」で仕入れ、加工・販売までを一括管理することで中間マージンを省いて、市場価格の約半額で販売している。例えば、宮崎牛ロースステーキは100グラムが680円という手頃な価格となっている。

 コロナ禍が1年を経過し、さらなる長期戦が見込まれる中での東京進出。同社は「コロナの影響で牛肉の外食需要が大幅に落ち込み、生産者が厳しい状況にある中、宮崎牛の魅力をより多くの人に伝え、コロナ禍の食卓を宮崎牛で少しでも豊かにしたいとの思いから、東京に初出店いたしました」と説明する。

 1月の開店キャンペーンで完売した肉福袋は、再び2月9日の「ニクの日」にも復活。宮崎牛の赤身・霜降りのスライスや、厚切りステーキなどがセットになり、家族での食事を想定した「肉の日はおうち和牛!肉福袋」のコピーと共に、例えば5万円相当が2万円、2万円相当が1万円(いずれも税別)という限定価格で完売した。

ちなみに「肉福袋」というネーミングから、一般的な「福袋」と同様に、中身が見えない状態で紙袋などに商品の詰め合わせが入っているイメージがある。だが、同店で販売されている肉福袋は、中身が最初から分かるようになっており、2、3段の木箱風の箱がオリジナルの保冷トートバックに入った状態で購入する形になっている。

 肉だけではない。勝どき店では店内で調理する自家製「テイクアウト惣菜」を約50種販売。メンチカツやコロッケ、から揚げといった定番惣菜のほか、宮崎牛もつ煮込みやヒレかつバーガーから自家製ロールケーキなどのスイーツまで幅広く販売している。「コロナ禍のおうちご飯」を掲げており、この時代背景を踏まえている。

 コロナ禍以前と比べて、食材を販売する店として、どの程度まで需要は高まっているのだろうか。同社の担当者は当サイトの取材に対して「需要は増えております。平均して前年比150%程度の売上げ増です」と回答。「勝どき店オープン日には行列ができて、キャンペーン商品も1時間足らずでなくなるなど大人気でした」と手ごたえを示した。

  他の通販サイトで「肉福袋」を検索すると、「訳あり」という表示が付いている。肉の部位の切れ端などを想起させるが、同社ではそうしたイメージとも一線を画していた。

 担当者は「切れ端などではなく、品質も通常品と同様です。大量仕入れの仕組みや、現金払いのみでクレジット手数料を抑えるなどの細かな企業努力の積み重ね、加えてコロナ禍でも宮崎牛を楽しんで欲しいという想いから今回の福袋が実現しました」と解説。品質が落ちるのではなく、流通システムによってリーズナブルな価格を実現したという。

 コロナ禍によって、自宅での調理やテイクアウトなど、「家食事」の機会が増えたことだけでなく、こうした企業努力が加味されての売り上げ「前年比5割増」ということなのだろう。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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