1月の大雪で直面!雪かきができず、買い物にも行けない高齢のお隣さん もし気づかず放っていたら…

東北・北陸地方を襲った1月の大雪では、各地で大きな被害が見られました。この大雪の影響で命を落とした高齢者の方もいます。日本は2019(令和元)年に高齢化率が28.4%となり「超高齢社会」に突入したといわれていますが、この災害を通して日本が抱える高齢社会の課題が浮き彫りになっているように思われます。

今回取材をした石川県在住のAさん(40代・会社員)は、この災害級の大雪を通して、一人暮らしをしている高齢者の方が助けを求めることができないという大きな課題に直面しました。そして地域福祉の大切さを身を持って感じたと話してくれたのです。

Aさんの住む地域は平野部ということもあり、山間部と比べると降雪量は例年それほど多くはありません。しかし今回の大雪では断続的に雪が降り続き、仕事前、帰宅後、夕食後、就寝前と1日に4回も「雪すかし(金沢地方の方言で「雪かき」のこと)」をしなければいけないほどだったそうです。

Aさんのお隣には80代の女性Bさんが一人で暮らしています。ほぼ毎日仕事に行く前にBさんに会うのですが、この日は姿を見ることはありませんでした。Aさんは大雪のため、いつもの散歩を控えているのだと思ったそうです。

■「雪透かし」ができず、買い物にも行けない現状

「雪」と一言でいっても、雪の質は地域によって異なります。北陸地方に降る雪は、とても水分が多く重い雪です。さらさらとしたパウダースノーではないため、雪透かしはかなりの重労働です。

Aさんが仕事から帰ってくると、自宅の目の前には多くの雪が降り積もっていました。しかしBさんの家の玄関前を見ると、倍以上の雪が積もっており雪すかしをした形跡はありません。

AさんはBさんの自宅を訪れると、中からBさんが出てきました。Bさんは雪透かしをしようと試みてみたけれど、雪が重く雪透かしができなかったと話してくれました。

また、雪でエアコンの室外機が覆われ、エアコンが機能していませんでした。部屋はとても寒く、布団の中で寒さをしのいでいたそうです。

80代のBさんとって、雪透かしは身体的にも精神的にも大きな負担となっています。Aさんには2人の息子さんがいるので、3人でBさんの自宅前の雪透かしを行ないました。

その日の夜、地元のニュースで一人暮らしの高齢者の方が屋根の雪の下敷きとなり亡くなられたというニュースを見て、Aさんは高齢者の方の支援が必要だと感じたそうです。

Aさんには、もう一つ気になったことがありました。Bさんは運転免許を返納しています。買い物はスーパーまで歩いて行くことしかできません。しかしこの大雪の中、歩いていくことはとても危険です。

幸いにもBさんの家には食べ物があったので買い物に行く必要はなかったのですが、Aさんは必要なものがあれば、買い物を代行することを伝えたそうです。

■地域での見守り活動が必要な時代

日本は世界的にも有数の災害大国でもあり、また他に類を見ないほどのスピードで高齢化率が上昇しています。

今回の体験を経て、Aさんは話します。「日本は『超高齢化社会』に突入しています。こうした状況を支えるのは、国や自治体だけでは難しいのではないでしょうか。『地域の力』を強化していく必要があると思います」

Aさんが住む地域は、Aさん以外にも多くの方が通学路の雪透かしをしたり、民生委員の方が訪問したりとさまざまな支援を大雪の中、行なっていたそうです。

みなさんのお住まいの地域が持つ力、強みはどのようなことでしょうか? 住み慣れた地域で生活をする楽しさや強みを活かしていきたいものですね。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)

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