「天下一品」のこってりスープが紙コップ1杯150円!?「おにぎり持参で優勝!」と絶賛…順次拡大予定も

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が首都圏や関西圏などで再発令され、飲食店の夜営業は午後8時までの時短となって、外食形態が変化を余儀なくされている中、ラーメンのスープのみをカップで店頭販売する試みがSNSで話題になっている。ラーメンチェーン店「天下一品」(本社・京都市)の中野店(東京都中野区)で20日から限定販売されている「こってりスープ」だ。同店で紙コップ1杯のスープを味わった上で、本社の担当者に取材した。

 昨年11月オープンの中野店はJR中央線・東京メトロ東西線の中野駅北口から徒歩約7分。サブカルチャーの聖地と称される商業施設「中野ブロードウェイ」の1階を横断して外に出た、早稲田通り沿いに店を構える。

 店頭の赤い看板がひときわ目を引く。「全国初!中野店限定」と銘打って「手軽にこってりスープ。」というコピーの下に「コップdeこってり(税込¥150)」との商品名と価格が、「天下一品のこっていりスープを外で楽しむ!」「こってりスープで美味しく温まりませんか?」という文言と共に記されている。

 看板横でスタッフがスープを販売しており、記者も列に並んだ。平日の夕方、スープを求める人の動きは途切れず、通りすがりの若い女性から「これ、ツイッターでバズったヤツじゃん」という声が耳に入った。認知度も高いようだ。

 順番が来た。紙コップにまずはスープのベースとなるタレを大さじ1杯ほど入れてから、こってりスープをお玉杓子ですくって投入。ネギとそぼろ状になったチャーシューも追加してくれる。「天下一品」の特徴であるクリーミーで重厚感のある濃厚スープに、少量でも具が入っていることによって、ちょっとした食事感も味わえ、コスパも腹持ちもいい。

 ツイッターでは、「画期的な発明」「カップ麺と同じ値段で『本物』のスープが飲めるってすごすぎない?」「おにぎり持参すると優勝できるやつだ」「日本中のコンビニのレジ横で注文出来るようにして欲しい」「こんなバリウムあったら毎日健康診断やってもいい」などと感想が寄せられた。

 販売の経緯について、天下一品グループの広報担当者は当サイトの取材に対して「以前から『コップdeこってりスープ』とは違う方法で、こってりスープを身近に感じていただける商品を考えておりました。取り急ぎ、コロナ禍の中、こってりスープを楽しんでいただける方法を考え、今回のように販売することを決定しました」と明かす。

 ちなみに、中野店での販売期日は「いつまでとはまだ決めておりません」。また、ツイッターでは「全国の天下一品でやって欲しい」との要望が投稿されており、その可能性を聞くと、担当者は「今後は他店舗でも順次拡大する予定はあります」と回答した。

 SNSでは「これで雑炊すれば神じゃん」「コレにご飯でイケますね…ヤバい」と、自宅に持ち帰ってご飯を入れたいという意見も目立った。紙コップ1杯だけでなく、数人分のスープを販売するという案はあるのだろうか。同社に聞いた。

 担当者は「コップで楽しんでいただくには1杯がベストと考えております。より、こってりスープを楽しんでいただけるように、テイクアウトでスープのみの販売をしております。また、持ち帰りラーメン『家麺』をアレンジしてこってり鍋を楽しんでいただき、締めにご飯やラーメンを入れてさらに楽しんでいただく方法もございます」と説明した。

 この「紙コップ1杯のスープ」からラーメンそのものへの購買意欲をかきたて、店の認知度を広げるといった効果を見込んでいるのか。担当者は「購買意欲や名前を広げるという目的で始めたわけではありません。コロナ禍の中、店に入らずして弊社のこってりスープを楽しんでいただきたい、気軽に弊社のスープを楽しんでいただきたいというコンセプトで始めております」と見解を示した。

 駅のジュース販売店で冬場はコーンスープなどが販売されているが、ラーメン店で「麺抜きのスープ」を販売するという企画は、ありそうでなかった試み。紙コップ1杯のスープから一夜明け、記者は自宅近くの同チェーン店へ。お気に入りは別メニューなのだが、まだ体内にとどまるスープの残像に後押しされ、迷わず、「こってりラーメン」を約3年ぶりに注文した。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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