絶滅危惧種のマニュアルミッション車…今も一部で根強い人気 操る楽しみ実感、暴走も起こりにくい仕組み

 かつて自動車といえばマニュアルトランスミッション、MTが当たり前でした。

 左足でクラッチを踏んで、シフトを一速(ローギア)に入れて、アクセルを踏み込みながらじわっとクラッチを離していって、という一連の動作をスムーズに淀みなく行うと、車がスーッと動き出す。初めて教習所でクルマを運転したときには、これだけでドキドキしたものです。なんとなくレコードに針を下ろす瞬間のような。って、こっちもまた古い時代の話ですね。オートマチック車(AT)が普及したいま、レコードとともにこの感覚はもう過去のものでしょう。

■オートマチック限定免許の誕生で一気に「脱マニュアル化」

 自動車免許にAT限定ができたのは(一部、身体にハンディキャップのある方などで特別に交付されていた免許を除いて)1991年11月1日です。以降、2001年には三割以下だったAT限定免許取得者が2010年には逆転して、現在は七割近くになっているといわれます。また、いま現在普通免許を持っている人全体の中で、AT限定免許の人の割合は半分を大きく超えています。

 自動車自体も、新規に販売されるものはほとんどがAT車です。いま新車を買う場合、MTが選択できる車種は非常に少なくなっています。クルマの運転そのものを楽しみたいユーザー向けに、例えば少しスポーティなタイプのモデルに設定される、という感じですね。

 一方、ヨーロッパでは少し事情が違うようです。あちらではまだまだマニュアルミッションが主流で、フェラーリやポルシェなど値段の高いスポーツカーがむしろオートマチック(2ペダル、つまり人がクラッチ操作をしないという意味でですが)という、何となく日本と逆のような状態だと聞きます。

 また同じ欧米でも、アメリカは日本以上に、というか日本よりも早い時期からオートマチック車が主流になっていました。70年代以前、フルサイズでV8エンジンの、いわゆる「アメ車」と呼ばれた古いクルマ達も多くはオートマチックでした。

 そういえばいまからおよそ30年前、筆者が初めてハワイに行ったときにも、路線バスがオートマチックで驚いたのを思い出します。

■操作が煩雑で難しいという印象もあるマニュアル車ですが…

 さて、そんな国産車の流れの中で、マツダはマニュアル車の選択肢を今も残しています。現行モデルのほとんどの車種でマニュアル車の設定があるのですね。そして、いまなお新車を購入される方のうち、ファミリーカーでこそ5パーセントほどですが、スポーティなオープンカー「ロードスター」では76パーセントの人がマニュアル車を選択するのだそうです。

 操作が煩雑で難しいという印象もあるマニュアル車ですが、魅力も当然あります。まず「クルマを運転する」ということを純粋に楽しむ上での魅力です。

 エンジンというものは、機種によって低回転でたっぷりとしたトルクがあるもの、また高回転まで一気に力強く吹け上がるものなど、それぞれキャラクターがあります。また同じエンジンでも、回転数によってさまざまな表情を見せます。例えば同じ速度でも、3速4000回転で走るのと4速2500回転で走るのとではエンジンの音や回り方、アクセルに対する反応などが変わってきます。ギヤを変えるごとに違うエンジンが楽しめる感覚、とでもいいましょうか。またチェンジ操作やクラッチ操作は慣れが必要な分、技術の差が現れやすいので、上達する喜びもあるでしょう。

 それと最近ではもう一つ。アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走も、クラッチ操作という「クルマを動かすための手順」が一つ加わる分だけ起こりにくい、という意見もあります。オートマチック車だと、発進するときにブレーキと間違えてアクセルをべたっと踏んでしまうとそのまま暴走しますが、マニュアル車の場合さらに「クラッチを繋ぐ」という操作をしない限りクルマは動かないのですから。

 一時はこのまま絶滅してしまうかと思われたマニュアルミッション車。意外と根強い人気で、この先もずっと続いていくのではないでしょうか。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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