「アイス食べた」と激怒の顧問が中1柔道部員に体罰「内臓破裂で死ぬ可能性あった」小川泰平氏が指摘

 柔道部員の中学1年男子2人に体罰で柔道技をかけて背骨を折るなどの重軽傷を負わせた傷害容疑で、兵庫県警宝塚署が同県宝塚市立中学校教諭で同部顧問の上野宝博容疑者(50)を逮捕したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は15日、当サイトの取材に対し、「内臓破裂で死ぬ可能性もあった」などと行き過ぎた体罰に警鐘を鳴らした。

 同署によると、上野容疑者は9月25日、校内の冷凍庫で保管していたアイスキャンディーを生徒2人が無断で食べたとして立腹。他の柔道部員の目前で柔道の投げ技や寝技を連発して負傷させた。生徒2人のうち12歳の1年生は胸椎骨折で全治3カ月の重傷を負い、絞め技で失神した後も平手打ちで無理やりに起こされ、再び技をかけられたという。13歳の1年生は首を打撲する軽傷。今月に入り両生徒側から被害届が出され、同署が捜査を進めていた。同容疑者は容疑をおおむね認めている。

 小川氏は「教師の体罰自体はこれまでも数多くあって珍しいことではないが、今回は逮捕されて身柄を拘束された珍しいケース」と悪質さと常習性を指摘。上野容疑者は前任校でも体罰で生徒の鼻を骨折させるなどして減給や訓告処分されていた。

 その上で、同氏は「いくら柔道部員でも、中学1年生はまだ子供。コロナ禍もあって練習も十分にできていないでしょうから、まだ受け身も覚えきれていない段階だと思います。骨折したということは受け身が取れていない証拠だと考えられる」と指摘した。

 さらに、小川氏は「たとえ受け身が取れても、何度も何度も投げつけられると受け身も取れなくなります。大人が子供を何度も投げ飛ばせば、その力の差と疲労と恐怖によって受け身も取れない。その上、体にのしかかって締め技で落として失神させ、ビンタで起こすというのは常軌を逸している。その顧問には怒りを覚えます」と苦言を呈し、「意識がもうろうとなった相手を投げた状態でその体に乗りかかると、受け身も取れず骨折だけでなく内臓破裂で死ぬ可能性もある。殺意があったとは思えないが悪質な傷害事件です」と付け加えた。

 周囲の対応にも疑問を呈した。小川氏は「副顧問が怖くて止められなかったというほど、逮捕された顧問は凶暴化していたのでしょう。前任校でも生徒を骨折させていたということで、今回が初めてではなかった。運動部の鉄拳制裁はかつて『愛のムチ』と言われて、私も経験しましたが、今はそういう時代ではない。今回はケガが大きかったので公になったが、ちょっとしたケガならば内々に処理して明るみに出ていなかっただろう」と指摘した。

 「アイスを勝手に食べたことが、このような行動につながるという意味が分からない」とあきれる小川氏。「容疑者は指導者である以前に個人的な資質に問題があると思うが、学校や教育委員会は監視するというと語弊があるが、こうなる前に対応をしっかりしてほしかった」と、この指導者による暴力が横行していた環境に問題提起した。

 小川氏は「私は柔道4段で、柔道を47年間やっています。柔道の基本精神は『礼に始まり礼に終わる』と言われており、最初に教えられることです。柔道経験者である、この顧問の教師は柔道技を使い、重い傷害を負わせた。本当に許せない行為です。柔道連盟から除名、段位剥奪等の処分があると思われる」と見解を語った。

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