人身事故で終電ストップ&乗客が立ち往生→そのときサックス演奏がとっさに取った行動が話題

人身事故で終電が止まってしまい皆が立ち往生していた新宿駅のホーム。そんなホームで皆を元気づけるため颯爽とサックスを演奏しだした2人のミュージシャンがSNS上で大きな注目を集めている。

彼らの名はプロサクソフォン奏者の奥野祐樹さんと太田大地さん。

「午前2時 人身事故で止まった小田急終電 ホームでうなだれる乗客のみなさん サックス奏者の為すべきことは唯一つ」(奥野祐樹さんのTwitterより)

まるで映画の中のような出来事だが、この真夜中のセッションはどのような経緯でおこなわれたのだろうか?奥野さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):動画を拝見してなんだか胸が熱くなってしまいました。あのセッションはどのようなシチュエーションでおこなわれたのでしょうか?

奥野:演奏していたのは9月14日の深夜1時半~2時頃、新宿駅の小田急線ホームです。

その日はグループで演奏会のリハーサルをしておりまして、終わって同じサクソフォン奏者の太田大地と2人で新宿で食事してから終電で帰宅しようとしていました。0時38分の終電に乗ろうとしていたところ人身事故で遅れるとのことで、一度改札を出て1時間ほど時間を潰してからホームに戻ってきました。

1時半頃だと思いますが、終電は遅れに遅れて、みなさんホームに座り込んでかなり暗い雰囲気に見えました。自分達はリハーサル終わりで楽器を持っていたので、終電までやることもなく、なんとなく楽器を出して写真を撮っていたりしたところ、周囲の方々から何か演奏してとの声をいくつか頂きまして、試しに音出ししてみた次第です。

中将:手拍子や歓声もあがってましたね。

動画はいろんな演奏の総集編のように編集されていましたが、どんなレパートリーを披露されたのでしょうか?

奥野:演奏した曲目は「ルパン三世のテーマ」、「香水」、「夜に駆ける」など10曲程度だと思います。

中将:たしかに日常では絶対NGですよね(笑)。でも奥野さんたちの演奏は、細かなルールを超えて他の乗客の方や駅の関係者の方の心に響いたのだと思います。

演奏はいつまで続けられたのでしょうか?

奥野:その後、遅れに遅れていた終電が2時過ぎに動いたので無事乗車しました。途中、演奏を止められることは一度もありませんでした。

いよいよ終電が動いて駅員さんからカードをもらった時点では、ホッとしたというか、本来は演奏は絶対ダメだと思うので、感謝して頂いて助かったなあというのが正直な気持ちです。臨機応変にご対応頂き、ありがたく思っております。状況が状況なので演奏することについて賛否あるかと思いますが、自分達としては、少しでも明るい気持ちになった方がいらっしゃるならばやってよかったと感じております。

 ◇ ◇

公共の場所での演奏がとかく制限されがちな日本だが、奥野さんたちの演奏がその場に居合わせた皆に受け入れられたというのはなんとも痛快だ。いつでも、誰でも駅のホームで演奏して良いというわけではないが、場合によってはこんなことも許されるのだという良い先例として、このセッションが多くの人の記憶に刻まれることを期待したい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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