後をついてきて、ミャアミャアと鳴いていた子猫…「助けて」という願いが届いて、家族の一員に

大阪府に住む児玉さんが家の近くを歩いていたら、後をついてきた子猫がいた。「ミャア」と鳴いて助けを求めてきたので、放っておけずに保護した。クーちゃんと名付けて里親を募集したが、誰も希望者は現れず、家族の一員として迎えることにした。

■後をついてきた子猫

2003年9月、大阪府に住む児玉さんが家の近くを歩いていたら1匹の子猫をうしろからついてきた。ミャアミャアという鳴き声に気づいて、「えっ!」と思って振り向くと、黒猫の子猫がいたという。猫風邪をひいていて、鼻水と目ヤニで顔がぐちゃぐちゃだった。普通に歩き続けると、またついてきて「ミャア」と鳴いた。

「野良猫が何匹かいて地域猫活動をしている人もいるところなんです。親猫がいるかもしれず、連れて行ってはいけないと思いました。でも、ずっとついてきて鳴いていたので人なれしているし、捨てられたのではないかと思ったんです」

■びびりのクーちゃん

黒猫だったので、名前はクーちゃんにした。眼は結膜炎になっていて、猫風邪もひいていた。完治するまでは、先住猫とは隔離した。里親を探すためにチラシを作り、動物病院に掲示してもらったが、希望者は現れなかった。児玉さんは、自分がよく知っている人に譲渡するのだが、クーちゃんの時も、ちゃんとした人に渡したいという気持ちがあった。

クーちゃんは元気になったが、同じ頃に保護したナナちゃんと相性が悪く、1匹でいることが多くなったという。後から来たころ太くんにも追いかけられ、4階の屋根裏部屋まで追い詰められてフーっと言われた。おしっこを漏らしながら逃げまどうので、ころ太くんはなおさら面白がる。クーちゃんが安心して暮らせるよう、児玉さんはクーちゃんがみんなと別の部屋で暮らせるよう、3階にクーちゃんの部屋を用意した。

児玉さん宅には、さくらちゃんという下半身まひの猫もいて、さくらちゃんは何があっても動じず、きょとんとしているという。ただ、嫌なことをされると「やめて!」とはっきり意思表示をする。

「クロのように『怖い、怖い』とびびると、相手はより一層面白くなってちょっかいを出すんです」

■家族は特別、おしゃべり猫になる

猫だけど猫が苦手なクーちゃん。人見知りも激しいという。ただ、家族には気を許していて、とても甘えん坊で、よくしゃべる。「クーちゃん」と呼ぶと大きな声で「ニャーオ!」と返事をするし、お腹が空いたり、遊んでほしかったりすると、くりくりした目で見つめながら、大きめの声で「ニャーニャー」と鳴いて要求する。家族のそばにいる時は、「クーちゃん、かわいいな」と言いながらなでてあげるのだが、グルグル喉を鳴らして甘えるそうだ。甘えん坊モードがマックスになると、指をチュパチュパなめてくることも。ブラッシングも大好きで、ブラシをかけてあげると寝転がって気持ち良さそうに喉を鳴らす。

8月で17歳になるが、まだまだ食欲旺盛で元気いっぱい。

「これからも少しでもクーちゃんが嬉しいとか楽しいとか感じながら暮らしていけるよう工夫したいと思っています。元気で、楽しく、穏やかにですね」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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