神戸が涙した…市民必携「ご当地ノート」に返還予定のパンダ 40年ぶり新商品「孫にもひ孫にもタンタンを」

 タンタンが神戸ノートの表紙に-!

 神戸市の小学生必携のご当地学習ノート「神戸ノート」に、神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタンが表紙の新商品が登場しました。中国への返還が発表された直後の発売に、ツイッター上では全国のファンからも「ありがたい!」「爆買いしていいですか?」と喜ぶ声が。でもご安心を。限定販売ではないので、どこでもずっと買えます。帰ってしまっても、タンタンはずっとずっと神戸にいてくれるのです。

 神戸ノートは神戸市長田区にある「関西ノート株式会社」が50年以上前から販売しています。B5サイズで、表紙には神戸の風景写真をあしらい、教科、学年ごとに何種類もあります。カラフルでにぎやかな学習帳も多い中、渋いワントーンで、中央にはシンプルな明朝体で「れんらくちょう」「百字帳」などのタイトルを配置。一瞬「戦前?」とも感じるこのレトロな雰囲気のノートで神戸の小学生は学び、筆者もかつて一保護者として出会い、ずっと愛用する、神戸市民の心ともいえる存在です。

 このタイミングでのタンタン登場に「お別れ記念なの?」とついしんみりしてしまいましたが、実はプロジェクトは1年以上前から進んでいたそう。現在、同動物園の写真を使ったノートは2種類あるのですが、制作から長い時間が過ぎていたこともあり、動物園側からリニューアルを提案したといいます。

 「当時はまだ、タンタンの返還は全く決まっていなかった時期。『いなくなるかも知れないのに』と反対もあったんですが、いるかいないかなんて関係なく、タンタンは阪神・淡路大震災後、20年も神戸にいてくれた。もちろん人気者ですが、その感謝を伝えたいな、と」と同動物園。タンタンの写真と、他の動物の写真を数点、関西ノート側に送ったそうです。

 ところが、リニューアルが検討された白鳥デザインのノートについては長年愛用している根強いファンからも「変えんといてほしい、という声がありまして」と同社の大河裕二相談役(55)。そこで、ちょうど算数用に新しく作る計画だった方眼ノートに、タンタンの写真を使うことにしたそうです。

 タンタンの写真は2018年11月に撮影され、園のオリジナルダイアリーにも使われた写真。最初の提案時に送ったものだそうですが、大河さん曰く、レイアウト的にもぴったりで即決だったそう。動物園側は「返還が現実になった今なら、もっとカメラ目線の写真を送り直した方が良かったのかもしれませんが…」としつつ、「でも、朝ご飯の後、こうしてお気に入りの岩の上でゆっくりくつろいでいるのは、本当に、のんびりマイペースなタンタンらしい姿。飾ることのない、そのままの姿を覚えていて頂けたら」と思いを込めます。

 ちなみに、裏表紙には「おしどり夫婦」として有名なライオン夫妻。「格好良かったので!私の好みです!」と大河さん。小学校時代には王子動物園の近くに住んでいて、よく遊びに行ったといい、思い入れはひとしお。「コロナ禍の中で突然返還が決まった直後の発売になったことは複雑な心境ですが、神戸ノートの表紙の中でタンタンが残ってくれることは大変嬉しく思っています」と話してくれました。

 ノートは定価198円で、動物園内のショップのほか、神戸市内の文房具店やスーパーなどで販売しています。タンタン先生と一緒なら算数の勉強も楽しくなりますね。もちろん、大人の皆さんも遠慮は無用!日常使いに、保存用にぜひ。ちなみに筆者も早速数冊購入し、大事な表紙を守るために別途、連絡帳用に販売されているノートカバーをつけ安心感アップ。これでどんなに撫で回しても大丈夫なのでおすすめです。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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