笑いの殿堂NGKが再開 “新しい漫才様式”でミルクボーイがアクリル板よりも戸惑ったものは

新型コロナウイルス感染拡大の影響で休演が続いていた大阪の笑いの殿堂・なんばグランド花月(NGK)など吉本興業の5劇場が、19日から客を入れての公演を再開した。感染予防対策のため、漫才の舞台では高さ・幅約2メートルのアクリル板が置かれ、客席も通常の858席から最大112席に。“新しい漫才様式”に臨んだ芸人や、観客の声を聞いた。

漫才も客席も、ソーシャルディスタンスがしっかり保たれていた。再開初日の公演でトップバッターに立ったのは、漫才コンビ・ミルクボーイ。2人の間に置かれたのは、センターマイクではなくアクリル板。マイクを一人1本ずつ使用するフォークデュオのようなスタイルに、内海崇(34)は「コブクロみたいですね」とポツリ。駒場孝(34)が「コブクロに角刈りおらんやろ」とツッコむと、NGKに笑いが久々に響いた。

3月1日以来、110日ぶりに公演で客を迎え入れた笑いの殿堂。あまりの緊張からか、昨年のM-1グランプリを制した得意の「モナカ」ネタで、内海が噛んでしまった。駒場が「これが舞台が空いた芸人の姿ですよ…」と客席に向かって問いかけると、笑いと拍手で反応がすかさず返ってきた。

舞台を終えた内海は「緊張してネタおかしくなりましたし…」と反省しつつも「無観客でやってた時と全然違いますからね。やってみてうれしかった。大爆笑起こしたいなという気持ちになった」と、久々の客前での漫才に喜びを隠せない。駒場も「漫才のいい意味でのしんどさと言うか、体力の消費がすごいです。反応があるこの感覚を久々に味わえてうれしい」と声を弾ませた。

新しい漫才スタイルに、駒場は「アクリル板はまだマシなんですけど、マイクが1個ずつあるので歌手みたいになっている。最初真正面に立っていても、マイクの右側に立ってしまっている。ふつうの感覚をつかむまでが難しいかも」と振り返る。コンビ間に立ちはだかるアクリル板よりも、真正面に立ったつもりがついつい“定位置”に戻ってしまうマイクへの戸惑いがあるようだ。

大爆笑のボリュームも違っていた。最前列に客は入れず、前後1列と左右3席ずつ離して1.8メートルの間隔を取った。858席が最大112席になり、多くの席にはテープが。大阪府守口市の長井優里香さん(28)は「笑いは少量だった気がするが、盛り上がっていた。アクリル板への違和感はなく、リラックスして見られた。それくらい客席の距離があった」と、様変わりした劇場にも満足げだった。

落語家の桂文枝(76)は「アクリルがあろうと、たくましくやるのが芸人。芸人はどんな状況になっても、笑いを提供していく。ワクチンができて、お客さんが満員になる日を願いながら頑張りたい」と力強く語る。さっそく西川きよし(73)に「面会してるみたいやな…(横山)やすしさんとの面会はこんな感じでしたか?」とアクリル板越しに呼びかけ、きよしも「ここんところに穴が…やかましわ!」と呼応。不祥事を起こした横山やすしさんとの面会ネタにつなげ、大きな笑いを取っていた。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)

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