えっ!商店街が“マスク街”に すし屋からタピオカ屋までナゾノマスクをワゴンで山積み販売

マスク不足がまだまだ解消されない中、商店街などで「マスクあります」の貼り紙を見ることが多くなった。「売り切れ」「入荷はありません」と告知するドラッグストアとは対照的に、衣料品店や食料品店の軒先でマスクが売られている。どこも50枚入りの箱が3500円から4000円と微妙な価格。手を出していいものか…商店街にあふれる“ナゾノマスク”を実際に買ってみた。

兵庫県神戸市の元町商店街。「マスク在庫あり」「緊急入荷」などとうたい、マスクを取り扱う店が4月中旬くらいから急に増えた。量販店やドラッグストアのマスク不足をあざ笑うかのように、店先のワゴンに山積みになっている。買い物客が群がるが、誰もが切望する箱入りのマスクは戸惑う値段。手に取った主婦は「ぼったくってんな」と、思わず声に出していた。

小さなすし屋の軒先で、パックすしと一緒にマスクを売っていた店主は「よく売れていますよ!」と笑顔を見せる。緊急事態宣言の影響で、ふだんの営業をやめ持ち帰り販売だけに絞っているという。「すしはサッパリ」(注・味ではない)と話すが、マスク販売は店の“救世主”になっているという。

商店街を見渡すと、前出のすし屋や電気屋、文房具店、洋品店、喫茶店…とおおよそ今までマスクと縁もゆかりもなかった店が、次々とマスク販売に参入していた。店先で箱マスクのピラミッドを整えていた食料品店は「転売じゃないです。中国から輸入しているものです。今はこれだけですが、週末になったらもっと入ります」と明かす。マスクは業者から仕入れたもので、問題がないことを強調した。

販売されているマスクは日本語のパッケージだが、どれも「MADE IN CHINA」の文字が。ある店は、商店街をまわる営業マンからマスク販売を持ちかけられたことを教えてくれたが、どこの店も仕入れ値をたずねると店主は言いにくそう。「ええ、まあ…」などとと笑ってごまかした。

ハンドバッグ店で「三層構造フィルター お買い得50枚入り」と記された、3900円の箱入りマスクを購入。まったくお買い得ではない気がするが…某家電メーカーが日本で生産を開始した同じ50枚入りマスク1箱税込3278円(送料別)と比べると、法外に高いものではないような感もある。ただ、パッケージのイラストにやっつけ仕事感は否めない。

マスク通販のトラブルが横行しているご時世。紙のマスクを購入した消費者のもとに、マスクのイラスト集が届いた…なんて話もある。「中身、餅でも入っているんじゃないの?」という社内の声もあり、思い切って箱を開けてみると…いきなり読めない字が乱立していた。

袋の中に無造作に入れられたマスクと、見おぼえのある星マーク。「産品合格証」という紙切れが同封され、中国語が並ぶ。どうも中国江蘇省江陰市で、4月16日につくられたもののよう(購入は25日午前)。着用してみると…いたって普通のマスクだった。

同じ兵庫県内の尼崎市にある尼崎中央商店街では、美容室やタピオカ屋の主力商品がマスクに代わっていた。周囲にシャッターを閉める店が多い中、いちるの望みをかけて“白いダイヤ”の販売に精を出す。1枚あたり約7080円…ある店が貼り出していた「安くはないけど、高くもない」との手書きのキャッチコピーが、妙に説得力があった。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)

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