バブル期から変わったスキー場、夏もお客を呼べる飲食の開発などが必要に 「犬」も対象に

流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「令和のスキーヤー」。昭和の終わりと平成の初めに起きたバブル期から若者のレジャーとして盛況だったスキー場が今、転換期を迎えている。渡辺氏が現状をリポートする。

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30年ぶりに那須へスキーに行ってみました。暖冬で雪があまりなかったのに、当日前夜から雪が降り、パウダースノーを楽しむことができました。

バブル時は、ユーミンの「恋人がサンタクロース」がかかり、大ヒット映画「私をスキーに連れてって」の名シーンである男女数人のムカデ滑走がゲレンデに溢れたものです。

バブルがはじけた90年代中盤にはスノボがブームになり、ゲレンデでの音楽も広瀬香美の「ロマンスの神様」に変わり、歌とエンターテインメントとも連動したスキー場来場者数は、長野オリンピックの1998年に1800万人(レジャー白書)でピークを迎え、現状は3分の1程度にまで落ち込んでしまっています。

若者人口の減少で影響しているのと、スキー経験者の高齢化もあり、約4割を占めるスノボもブームになってからすでに20年を経過。深夜に出発し、滑って夜には帰宅するなんて、若い時にはできた強行軍を決行するのは不可能で、高齢者がスキー場から足を遠のける一因となっています。

しかし、スキー場を見渡すと両親が子供に教える2世代の割合も多く、祖母を巻き込んだ3世代スキーヤーも見られました。

白銀の世界は非日常で、体験にお金を使う「コト消費」のブームに、ファミリー層へのマーケティングを組み合わせれば可能性も感じます。

僕の行った「Mt.JEANS那須」(栃木県)は、夏にはドッグランで犬の聖地となり、「スノードッグトレイルランレース」も開催され、ゲレンデに犬を連れてきている人も多数見られ、犬というファミリーをマーケティングに取り入れているのは新しいです。

今年のように暖冬で雪が少ないと冬がメインシーズンのスキー場経営は厳しくなります。シーズン経営のため、飲食が割高なスキー場価格になっているところも多い。移動費のリフト券、ウエア用具レンタル代などお金がかかるレジャーがスキーです。高い価格ならそれだけで夏のオフシーズンでもお客を呼べるぐらいの飲食の開発がスキー場には必要なのかもしれません。

 世界のスキーヤー憧れの最高峰であるパウダースノーの北海道のニセコや長野の白馬や斑尾が日本にはあり、ゲレンデマジックでスキー場では異性が輝いて見えてカップルが生まれる確率も高い。老若男女、ぜひぜひ、スキー場へ行ってみたら良いことあるかも。

◆渡辺広明 マーケティングアナリスト。1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニエンスストアの店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間、メーカーのマーケッターとして7年間従事。現(株)やらまいかマーケティング代表。商品開発700品の経験を活かし、顧問、講演、バラエティから報道までのメディア出演と幅広く活動。フジテレビ「Live News a」のレギュラーコメンテーター。

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