相続の後は…もっと面倒な「住宅の手続き」が待っていた!…父亡き後必要になった意外な申請

 昨年、父が亡くなった。残された微々たる預貯金を相続するため、煩雑極まる手続きをやり終えたのも束の間、今度は母親が住む市営住宅の名義変更と家賃減免申請という、相続手続きに匹敵する面倒な手続きが待っていた。残された家族がやらなければならない手続きや届け出は本当に膨大だ。

 父が残した遺産は、ゆうちょ銀行と信用組合の預貯金だけだった。いずれも微々たる金額なので、手続きは専門家に頼ることなく自分でやった。あまりの煩雑さに心が折れそうになりながらも、やっと終わって、ひとまず安心と思っていたら、あらたな敵が現れた。

 両親は大阪市の市営住宅に住んでいた。父の名義で契約していたので、亡くなった後も母が住み続けるには名義変更をしなければならない。しかも、父の年金は遺族年金になるから、世帯収入が減る。市営住宅は世帯収入で家賃が決まる仕組みだから、家賃の減免申請もしなければならない。

 では誰がその手続きをやるのかというと、高齢の母に代わって長男である筆者がやる羽目になるわけで、「はいはい、わかりました。やりますよ」と、半ばヤケクソ気味に引き受けた。

 まずは大阪市の住宅管理センターへ電話をかけて、名義変更と家賃の減免申請をしたいと告げたら、申請に必要な書類を送ってくれた。

 こちらで用意する書類は、なんと相続手続きより多いではないか。戸籍謄本(全部事項証明書)、住民票、印鑑登録証明書は遺産相続のときに区役所で取ってある。今度はそれに加えて「国民年金・厚生年金金額改定通知書(コピー)」「公的年金等の源泉徴収票(前年分のコピー)」「入院請求書兼領収書(コピー)」「後期高齢者医療保険者証(コピー)」も必要だった。しかもご丁寧なことに、印鑑登録証明書を貼り付ける「台紙」というものがあって、申請人として母の氏名と認印、保証人として筆者の氏名と実印を押す欄がある。その保証人も、立場上、筆者がやらざるを得なかった。

 面倒なことに、国民年金・厚生年金金額改定通知書と公的年金等の源泉徴収票は、母が「どこにしまい込んだか分からへん」という。家じゅう探せばどこかにあるはずだが、探すのは面倒だし、紛失したことにして、再発行してもらうことにした。そのために年金事務所を訪ねて、手続きをしなければならない。本来ならしなくていい仕事がひとつ増えたが、仕方がない。もっとも、その手続きを筆者が代行するから、母に委任状を書いてもらう手間も増える。どうやら父も母も、行政機関から届く郵便物を「見ても分からないから」と、保管する努力すらしていない様子だった。

 年金事務所で再発行の手続きをした書類を除けば、名義変更と家賃の減免申請のために作成した書類は5種類で、その内訳は次の通り。

■d名義変更のために作成した書類

〔市営住宅名義変更申請書〕

元の名義人(父)と新しい名義人(母)の氏名、名義変更の理由(死亡)、保証人として筆者の住所・氏名を記入する。

〔誓約書〕

「ペットを飼いません」とか「大きな音を出して近所に迷惑をかけません」「共益費をきちんと納めます」といった、集合住宅で常識的なルールを守りますという書面。

〔印鑑登録証明書貼付台紙〕

保証人になった筆者の印鑑登録証明書を糊付けして、実印を押すためだけの紙。

■家賃減免申請のために作成した書類

〔市営住宅家賃減免(更新)申請書〕

「同居者の状況」という欄に、前もって両親の氏名が印刷されていて、父の名が二重線で抹消されていた。死亡届を出してから1カ月も経っているのに、データ上ではまだ同居中になっているらしい。それはともかく、あらかじめ印刷されていたので、捺印欄に母の認印を押すだけであった。

〔家賃減免申請医療費控除計算表〕

家賃減免の判定や算定を行う際に、世帯の総収入から医療に要した費用を差し引くことができるという。父が亡くなるまでの過去1年分が対象で、その間に支払った入院費用の合計額を書いて認印を押す。

   ◇   ◇

 それにしてもこの手続きは、区役所で戸籍関係と印鑑登録証明書を取り、住宅管理センターから送られてきた書類に記入して送り返せば済んだはずだった。ところが年金事務所から送られてきたはずの国民年金・厚生年金金額改定通知書と公的年金等の源泉徴収票の管理を、両親が疎かにしていたため、わざわざ隣の区にある年金事務所まで行って再発行の手続きをすることになってしまった。

 役所から届く通知の類は、たとえ面倒でも一度は目を通して、しっかり保管しておいたほうがいい。

(まいどなニュース・平藤 清刀)

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