実はオッサンじゃないわよ!…アザラシが露天風呂でくつろぐオッサンに見える件、水族館に聞いた

 残暑がぶり返したような暑さも過ぎ、急に秋らしい冷え込みになってきました。こんな季節は、紅葉を愛でながら露天風呂でゆっくりしたい…なんて思っていたら! どう見ても、露天風呂で寛ぐオッサンにしか見えないアザラシの写真が話題になっています。薄く目を閉じ瞑想するようなその姿は、もはや神々しささえ漂うような。ということで、このアザラシがいる北海道小樽市のおたる水族館に聞いてみました。

 写真は、今月5日、しおたん(@uruhira)さんが「アザラシ見に行ったはずなのに、露天風呂のオッサンやないか!!」とツイッターに投稿したもの。これまでに「近所の銭湯でよく見る光景」「完全におっさん!」など約5万件のリツイートと、15万件以上のいいねを集めています。半年に一度はおたる水族館を訪れ、実はペンギンファンというしおたんさんですが「容姿が面白すぎて、つい撮ってしまいました」と振り返ります。

 -アザラシのこんな姿、初めて見ました…。

 「あー、アゴヒゲアザラシですね。昔多摩川にいて話題になったタマちゃんと同じ種類です。うちではゴマフアザラシ、ゼニガタアザラシ、ワモンアザラシと合わせて4種類のアザラシを飼育しているんですが、アゴヒゲ以外の3種は体長170センチぐらいなのに対し、アゴヒゲは大型で2メートル以上になるんです。うちのプールは水深1メートル少しとちょっとアゴヒゲには浅いので、時々こんな姿が見られますよ」(以下、海獣飼育課長・角川さん)

 -あの可愛いタマちゃんが、大人になるとこんな風格に…。これ、立ってるんですか?

 「いえいえ。後ろ足を前に投げ出すように折りたたんで…といってもアザラシの後ろ足は短いんですが笑 人間でいえば座っているような感じですかね」

 -露天風呂に入ってる人間そのまんまじゃないですか…! で、性別は…。

 「それが、メスだと思います」

 -ええっ!

 「うちには4頭(オス2頭、メス2頭)のアゴヒゲアザラシがいるんですが、アゴヒゲはメスの方が体が大きいんです。そういえば、オスよりメスの方が、この格好をよくしていますね」

 -ご年齢のほどは…

 「それが、分からないんです。うちのアザラシは北海道沿岸で漁師の網に引っかかって衰弱していたところを保護された子ばかりで、メスのノンノンは1995年、ウパウパは2000年に保護され、約20年うちで暮らしています。アザラシの寿命は、詳しくは分かっていませんが25~30年と推定されているので…」

 -熟女でしたか!!!

 「ええ。ノンノンは大らかで、熟睡して飼育員が近づいても起きず、死んでるんじゃないかと慌てさせたこともあるほど物事をあまり気にしないタイプです。一方のウパウパはアゴヒゲには珍しく気性が荒くて…。あ、でも後頭部につむじみたいなクセ毛があって、それがチャームポイントです」

 そういわれてみれば、この柔らかな体の曲線、薄く閉じた目、なで肩は日本画の美人図のよう(?)。人間が近づいても起きないとか、野生動物として大丈夫かとも思いますが、そんな人間の驚きや喧噪はつゆ知らず、同水族館によると、熟女お二人(頭)は今日もゆったりとプールに浸かっておられ、1日に数回はこんな姿も見られるとのことです。

   ◇   ◇

 北海道の冬は早く、雪の多いアザラシプール周辺は11月24日を最後に来年3月中旬まで閉鎖され、その間は姿が見られないそうです。今は、トドが酒…ならぬ秋鮭を丸のみするショーが見られるそうで(イベント名は「鮭は飲み物。」…)、ぜひ北海道の短い秋と個性豊かな動物たちに会いに行ってみませんか?

(まいどなニュース・広畑 千春)

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