あおり運転殴打事件、ガラケーで動画撮影した容疑者の罪は…元アイドル平松弁護士解説

 茨城県守谷市の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件で、傷害容疑で会社役員宮崎文夫容疑者(43)が逮捕され、同乗していた交際相手の喜本奈津子容疑者(51)が犯人蔵匿と犯人隠避容疑で茨城県警に逮捕された。喜本容疑者は、宮崎容疑者が被害男性(24)の車を停車させ、顔面を5発も強打している間、制止するどころか携帯電話で撮影を続けていた。喜本容疑者の行為の法的な問題点を元アイドルで歌手としても活躍した平松まゆき弁護士に尋ねた。

 Q 喜本容疑者に対する逮捕容疑は犯人蔵匿隠避でしたが、「蔵匿」と「隠避」の違いは何ですか?

 A 「蔵匿」とは、警察等による発見や逮捕を免れるべき場所を提供し、かくまうことといいます。これに対し「隠避」とは、「蔵匿」以外の一切の行為のこと、たとえば警察にすすんで嘘の情報を提供すること等をいいます。自室でかくまっていたということですから今回は蔵匿罪での逮捕かと思います。

 Q 喜本容疑者は「もともと被害者側があおってきたのだから自分達は悪くない」と主張しているようですが、犯罪の成立に影響ありますか?

 A 「この人は無実である」と確信して蔵匿隠避した場合であっても、犯罪の嫌疑によって捜査の対象となっていることを認識している限り、犯人蔵匿隠避罪の故意は認められるとされていますから、その点では犯罪は成立します。

 Q 喜本容疑者は、宮崎容疑者が被害者をどう喝、殴打している際に動画を撮り続けていましたが、こうした行為の処罰はどうなりますか?

 A 既にニュース番組等で議論されているところですが、傷害罪の幇助罪が成立する可能性があります。幇助とは正犯の犯行を容易にすることをいいますが、喜本容疑者は、宮崎容疑者が被害者に殴りかかっている最中に制止しないどころか、後部座席を開けようとしたという映像も残っているようですので、幇助の成立はあり得るでしょう。

 Q 被害者の承諾を得ずに動画を撮影したことは?

 A 民事上の肖像権侵害の問題があります。肖像権は人格権に由来するもので、みだりに自己の容貌等を撮影されない利益とされていますので、少なくとも賠償問題とし得ると思いますね。

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 平松まゆき(ひらまつ・まゆき)弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハト オールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュ-。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。2010年に名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。

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