江戸時代にもゆるキャラが?…エイリアン似のサメをかわいく描いた、昔の人のセンスに脱帽

「隠岐国産物絵図注書」に描かれているシュモクザメ
特別展「サメ祭」で展示されている、アカシュモクザメの剥製
2枚

江戸時代にもゆるキャラがいた!?…昔の資料に描かれた不思議な生物の絵が、SNSで話題です。漫画チックなつぶらな瞳にぎざぎざの口、丸みを帯びたのっぺりしたフォルムは、古記録とは思えない斬新さとかわいらしさ。そのまま着ぐるみにもできそうな勢いです。…でもね。この絵のモデルになった生き物の姿は結構ハードボイルドで…ここまでデフォルメできた昔の人たちのセンスに、ちょっぴり脱帽ものなのです…。

この絵は、サメの一種である「シュモクザメ」を描いたものです。江戸時代中期に、山陰地方・隠岐国の特産を幕府に報告するためにまとめられた資料「隠岐国産物絵図注書」にまとめられています。鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」で行われている、サメをフューチャーした特別展「サメ祭」で展示されています。

特別展では絵に描かれたサメの剥製(はくせい)も展示されています。シュモクザメの一種「アカシュモクザメ」がこちらです。

長さは2.5メートル。色は明るいオレンジ色のようですが、生きている実物はねずみ色のような感じだそうです。頭が左右に張り出して、その先端に目が付いているという特殊な姿。上から見ると仏具の撞木(しゅもく・鐘を打ち鳴らすハンマーのようなもの)に似ていることから、名前が付いていますが…どうでしょう。個人的にはトンカチどころかエイリアンや宇宙人にも見えてきたりして…。絵と実物のギャップに、Twitterでは「日本人って、昔から何でも可愛く描いてしまうのね」と感心の声が寄せられています。

「顔はかわいらしく描かれていますが、体全体の描くべきところはしっかり描かれていますよ」と話すのは同館の大池明館長。左側のサメの股間部には、グラスパーと呼ばれる2本の生殖器が描かれ、オスだと判別できるそう。さすが報告資料…!ポイントはちゃんと押さえられているようです。

  ◇   ◇

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」は、「水のない水族館」として魚介類の剥製を多数展示しています。その数700種・約4000点。日本で最多を誇るほか、日本一大きな体長3メートル近いマンボウの剥製があることでも知られています。

山陰地方では、サメのことを「ワニ」と呼んでおり、昭和の戦後のころまでは漁も盛んに行われていたなど、サメに関して独自の文化があるといいます。同館が開館25周年を迎えたのにあわせて、サメの特別展を行っているそうです。40種類の迫力あるサメの剥製を展示するほか、パネルなどでサメの生態や山陰地方での食文化を紹介。「隠岐国産物絵図注書」からは、シュモクザメ以外にも3種類のサメの絵を抜粋して紹介しています。

「サメ祭」は9月2日まで。8月3、4の両日は特別イベントが行われ、シャークジャーナリスト沼口麻子さんのトークショーや香川大の畦五月准教授の講演などが行われます。両日とも先着100人にサメ料理の振る舞いがあるそうです。

「海とくらしの史料館」http://umikura.com/

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