廃線車両を丸ごとパン屋さんに 300万円かけて改装した店長に聞いた

かつて岐阜県揖斐郡大野町の黒野駅から谷汲駅までを結んでいた名鉄谷汲線。地元の人々に愛され続けてきた路線が廃線になり、さらに車両まで解体されると世間に知らされたのは、約20年前、2001年の暮れのことだった。その解体されるはずだった車両が2003年10月にパン屋として生まれ変わり、以来現在もたくさんの人たちに愛されている。

1928(昭和3)年から2001(平成13)年まで、花形電車として活躍していた750形が、現在「手づくりパン 歩絵夢」として幸せに第二の人生を送っているとのことで、岐阜県の北方町まで足を運んでみた。

お店のドアを開けると、店内にはドドーンと迫力のある車両が丸ごと。焼きたてパンの甘い香りが漂い、親子連れでにぎわっている。運転席や運賃表、つり革などが、当時のまま残されており、車両の中がパンを選ぶスペース、また買ったパンをその場で食べることもできるカフェスタイルになっている。

広い工房の中で忙しそうに作業をされていた店長の安藤規治さんに、少しだけ手を休めてもらい話を聞いた。

ーー車両をパン屋にしようと思ったきっかけは?

「ちょうどこのお店の準備をしている時に、『廃線になった谷汲線の車両が解体の危機』という新聞の記事を目にしたんです。自分も幼い頃からよく乗っていたなじみの深い車両でもありましたし、廃線になって、さらに車両が解体されると知り、とても残念なことだと思ったんですね。すぐに名鉄に電話をしまして、引き取らせてくださいと伝えました。3両中のうち1両をうちに譲ってもらえることとなり、今ここにあります」

ーー車両の購入費や運送費は?

「解体する予定だったものなので、車両本体や運送費は無料でしたが、色を塗り替えたり、においを取ったり、タイヤを外したりなど、パン屋にするための諸々の改装費で約300万円ほどかかりました」

ーーパンの特徴は?

「120~130種類のパンを作っています。生地は8~9種類で、菓子パン、サンドイッチを含む惣菜パン、キャラクターパン、ハードタイプまで色々あります。来てくださるお客様の年齢層がお子さんから年配の方々まで幅広く、たくさんの種類の中からセレクトしていただけるようにしています」

ーーお客さんの反応は?

「実際に運転席にも座ることもできますし、小さなお子さんたちはとても楽しんでくれています。年配の人たちには、地元で実際に走っていた車両ということもあり、懐かしいと言ってくださいますね。車両の中で食べることもできますので、面白いと好評いただいていますよ。これからも、楽しい雰囲気の中でパンを選び、味わってもらえる場所であれば、自分にとっても嬉しいことです」

(まいどなニュース特約・AYA)

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