常滑市が“招き猫だらけ”になっている…いったいニャンで!?
愛知県常滑市は“招き猫”の街として知られている。常滑焼との相性も良く、なんと生産量は日本一。いまや、その人気はワールドクラスで中部国際空港を利用する外国人からも注目されている。そこで、よくよく調べてみるとさまざまなキャラクターの招き猫がいることが判明。トコタン、とこにゃん…その違いはなんニャのか?
名古屋から名鉄特急に乗って40分のところに常滑駅はある。「ボートレースとこなめ」は、そこから10分ほど歩いたところ。場内に入ると高さ6メートルの巨大な招き猫が鎮座している。ギャンブル場らしく、お腹には「億万両」と書かれた小判を抱えているではないか。
てっきり、これがボートレース場のマスコットキャラクター「トコタン」の親玉と思い込んでいた。しかし、実は全く別のキャラクター。そこで取材していくと次から次へとおもしろい事実が浮かび上がって来た。
まず、この巨大猫は1989年、名古屋市で開かれた「世界デザイン博」で展示され、閉幕後に、この地に招かれたもの。では、トコタンはどこからやって来たのか。
市のホームページよると誕生日は2001年8月1日。当初は「ボートレースとこなめ」のマスコットキャラクターとして公募され、1万5000通の中から縁起のいい名前として選ばれた。トコタンのタンはターンマークや3連単のタンにちなんだとも言われている。身長は2メートル、体重は測定不能。趣味は常滑焼の器に注いだ地酒で一杯やるのとボートレースというおやじキャラ。好きな食べ物はどて丼、のり、あさり、メジロの干物と渋めだ。
そのトコタンは常滑市の知名度アップに貢献したことが評価され、14年4月には市制60周年の記念事業のひとつとして、な、な、なんと!!常滑市の公式マスコットキャラクターへと超異例の大出世を遂げるのである。
一方、もうひとつの主役が「とこにゃん」だ。こちらは06年、名鉄「常滑駅」からやきもの散歩道につながる道が殺風景だったことで、活性化するために「とこなめ招き猫通り」と名付けた際、街を見下ろすシンボルとして誕生。通りの壁には地元ゆかりの作家が作った陶器の猫が39体並び、その先に大きな顔の招き猫「とこにゃん」がドドーンとそびえ立っているという構図。何とほぼ顔だけなのに高さ3・8メートル、幅6・3メートルもあり、とこなめ観光課の松下妙子さんも「みなさん、その大きさに圧倒され、とこにゃんをバックに自撮りされてます」と話す。
そもそも、招き猫のルーツは諸説あるが、縁起物として1800年代半ばに生まれ、焼きものとの相性の良さから常滑市や瀬戸市などで普及。松下さんによると「7~8割が常滑で生産されていると言われており、その特徴は2頭身のフォルムで大きな目、お腹に小判を抱えたもの。いわゆるこれが“常滑系”です」とのことだ。
街を歩くと、そこは招き猫だらけ。インバウンド客にも“welcome cat”や“lucky cat”として人気があり、中国人は金色の招き猫をお土産に買って帰るという。そうそう、招き猫の挙げた手にもいわれがあり、右手は「お金」、左手は「お客」を招くとされるそうだ。(まいどなニュース特約・山本智行)