「遺品整理あるある」は他人事じゃない 逸品の掛け軸のはずが…あなたは大丈夫?

 多死社会を迎え、死後に自宅などを片付ける遺品整理の依頼が増えています。大切な思い出の品、思い切って買った高級品、趣味のコレクション…と、生前故人が誇りにしていたり、「子どもや孫に遺してやりたい」「いつか使えるはず」と思っていたりしたものが、遺された者にとってはただのゴミでしかない…なんてことも。兵庫県などで生前整理や遺品整理を手掛け、終活セミナーも開く「Dear Family」の金城富仁さん(49)に、「困った『遺品』」を聞いてみました。

(1)思い出が詰まった数十冊のアルバム

 故人の遺品整理を行っているとき、もっとも困るものの一つが、アルバムだそうです。幼いころから結婚し、子どもを育て上げて、晩年の趣味も…とその人の人生を物語る何千枚、何万枚の写真…。「でも、遺族が見返すとしてもせいぜいお葬式前に1~2回ぐらい。そのあとは残念ながら…ということになります。できれば、お元気なうちに本当に必要なものを抜粋してとっておきの1冊を作ってみてはいかがでしょう」

(2)床の間にかかる「逸品」掛け軸

 さらに故人が70代以上で戸建てのお宅でよく見られるのが、床の間にかかる掛け軸。ですが長年かけっぱなしだったためか、いたるところにシミやヤケがあったり、それらしい落款があっても、遺族が鑑定してもらったら偽物…なんてことも多々あるそうです。陶磁器や茶器、絵画、屋久杉の机などもしかり。「もし、子どもや孫に遺したいなら、お元気なうちに鑑定してもらったり、ご家族に相談されたりすることをお勧めします」

(3)ナショナルのこたつ、ベータ-版ビデオデッキ、ウォークマン…

 今は使わないけど、そのうちに…と押し入れの奥にしまったままの家電、ありませんか。「遺品整理の現場は、毎日がタイムスリップ」というほど、懐かしいものが次から次へと出てくるそうです。レアものとしてマニアに珍重されるものもありますが、大半はゴミですし、処分料がかかるものもあるので、注意が必要です。

(4)埃だらけの「高級」コートに、企業戦士の誇り「オーダーメードの三つ揃え」

 ごみの多くを占めるのが衣料品です。ありがちなのが、素材自体はとても上質なコート。大切にしまってあるけれど、肩パッドががっつり入っていてとても今では着られないようなデザインだったり、埃にまみれて生地がボロボロになっていたりすることも。「さらに、男性の場合によくあるのが、名前の刺繍された三つ揃えと何枚ものワイシャツ。きっと、バリバリと仕事をされていたころにお使いで、ご自身の生きた証だったと思うのですが、名前入りなのでリサイクルショップにも売れません」

(5)本人以外価値が分からない??コレクション

 ある現場で目にしたのは、天井まで積み上げられたケーキの空き箱。それも家のあちこちに。「きっと、亡くなられた方はケーキが大好きだったのでしょうね。子どものころの思い出とかもあったのかも?」。別の現場では、タンスの上に折りたたまれた何枚もの紙のようなものが。手紙かなと思い近づいてみると、なんと使い終わったシップでした。「でも本当に丁寧に、すべて同じ大きさに折って重ねてあるんです。きっと几帳面な方だったんでしょうね…」。プラスチックケースに整然と片付けられたカメラなどもよくあるそうです。

 いかがでしょう? 金城さんによれば「家の中で日常的に必要なものは3割、銀行印や通帳、保険証など絶対に捨ててはいけないものは1割で、残りの6割は不要」とも。「一番の曲者は押し入れ」だそうですが、「一番最初にやると奥深過ぎて心が折れるので、ひとまず電話台など外堀から攻めるのがおススメです」。あなたの家の電話台にも、昔のタウンページや領収書、眠っていませんか?

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