民家の敷地で産まれた子猫、保健所行き寸前で助けられる

 美しい毛並みと丸い目が可愛い空ちゃん。一歩間違えば保健所に連れて行かれるところだった。運良く兄弟姉妹と共に保護されて、大阪にやってきた。

■保健所に連れて行かれるところを助けられた子猫

 2007年の初夏、和歌山県の、ある住宅の敷地内で、猫が子猫を生んだ。母猫は、その家で外飼いしていた犬のエサを、時々食べにきていた猫だったという。

 「その家の人が猫たちを保健所に連れて行くと知人に言うので、里親を探すのでちょっと待ってください、ということになったんです」

 知人は、自宅に猫を入れようとしたが、母猫は入らず、どこかに行ってしまったという。大阪に住む吉本さんは、4匹の子猫たちを家に連れてきてもらった。

 「以前も保護猫を飼っていたのですが、その子は心臓が悪くて亡くなってしまったんです。やっぱりペットを飼いたいと思ってペットショップも見に行っていたのですが、ちょうどその頃、子猫たちの話が舞い込んできました」

 白黒のブチ模様がある、少し毛足が長い子猫と、空ちゃんと同じ毛色の子がいた。吉本さんは4匹とも抱いてみたのだが、空ちゃんを抱っこした時に目と目が合って、「この子だ」と思ったそうだ。残る3匹の子猫たちも、他の人に無事譲渡されたという。

■お母さんが猫を飼うことに反対

 吉本さんは、空ちゃんを迎える前に、ペットショップで売れ残りの黒猫が1万円で売られているのを見た。息子さんとも相談して、「猫を飼うなら、あの黒猫にしよう」と言っていた。

「同居している母が、前に飼っていた猫を亡くした時につらかったからと、新しく猫を迎えることに反対していたんです。そのため2匹一度に迎えるのは難しく、空を選びました。しばらく母は納得できない感じでしたが、1週間もするとケージから出してなでていました」

■お母さんっ子の空ちゃん

 産まれてすぐに保護されたせいか、空ちゃんは、家に来た時、おどおどする様子もなく平気だったという。「テレビの隙間に隠れることもありましたが、すぐになついてくれました」

 空ちゃんは、昼間は押入れに入っているが、仕事から帰宅して「空」と名前を呼ぶと、迎えにきてくれる。吉本さんが1週間ほど入院したことがあったのだが、病院にお見舞いに来た親戚が帰りに吉本さん宅に立ち寄った時、「お母さんが帰ってきた」と勘違いした空ちゃん。最初、喜んで出てきたのだが、がっかりしたのか引きこもってしまったという。ご飯も食べなくなってしまったので、吉本さんが、退院後に動物病院に連れて行ったという。12歳になった空ちゃん、その後もすっかりお母さんっ子で、お風呂に入っている時もドアのところで待っているという。

(まいどなニュース特約・渡辺陽)

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