文筆家平民金子さん初の写真展を神戸で開催 余所行きではない神戸の魅力

 インターネット界を代表する有名ブロガーにして、あの「豆腐ぶっかけ丼」( http://d.hatena.ne.jp/heimin/20101129/p1 )の考案者でもある平民金子さんが、東京から神戸に移り住んできたらしい-。そんな話に驚かされたあの日から、思えばずいぶん経つ。平民さんはその後、神戸市のHPで、キラキラして「いない」方の神戸での暮らしを綴るエッセイ「ごろごろ、神戸」シリーズの連載を開始。幼い娘を乗せたベビーカーをごろごろ押しながら、あっという間に神戸のまちに溶け込んでいった。そして現在、平民さんは神戸・塩屋の「784 JUNCTION CAFE」で初めての写真展を開催中(4月30日まで)。街角の何気ない風景を写した写真ばかりだが、そのどれもが、神戸のイメージを鮮やかに塗り替えてしまう不思議な魅力を放っている。

 平民さんはブログ「平民新聞」( http://heimin.hatenablog.jp/ )を運営する1975年生まれの文筆家。昔ながらの市場が今も元気な神戸の土地柄に惹かれ、2015年3月に移り住んだ。17年春から連載している「ごろごろ、神戸」( http://www.city.kobe.lg.jp/information/public/online/gorogorokobe3/index.html )は、普段あまり光が当たることのない神戸の“B面”ともいうべき情景を、一生活者の視点から淡々と描き出し、多くの神戸っ子を唸らせている。

 また写真家でもあり、エッセイに添えられた味わい深い写真はかねてから注目されていた。写真展では、平民さんが娘とまちをぶらつきながら撮影した15万点以上の中から、厳選した約350点を展示。平民さんが愛する下町の市場、なんということのない古い看板や手書きの貼り紙、小さな路地などを切り取った写真には、ファッションやスイーツといった“外向き”のイメージとは全く違う素の神戸が息づいている。平民さんは「性分でしょうか、まちを歩いていると(良い意味で)薄汚いところにグッとくるんです」と話す。

 会場では「ごろごろ、神戸」の各回に呼応するエッセイを書き下ろしたZINE(冊子)「ごろごろ、神戸。B面」を700円で販売。一部をこっそり紹介すると、第45回の「神戸絶景寿司」にて、平民さんは神戸のまちを一望できる「ビーナスブリッジ」で海からの風を感じながら持ち帰りの寿司をつまんで悦に入り、「立ち食い寿司の名所としてこの場所がガイドブック等に載ることはないと思うが、なんとも粋な港町の光景である。風街((C)松本隆)とはこのことかと思う」と結んでいる。違うと思う。

 午前9時~午後6時、入場無料。日曜休み。最寄り駅のJR塩屋駅から会場までの道はかなりややこしいので、行き方を丁寧に解説している平民金子さんのTwitterアカウント(@heimin)を参考にしよう。(神戸新聞・黒川裕生)

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