このライオン、吠えるぞ!街角のオブジェ、実はライオンズクラブの募金箱

新宿東口のライオン像に硬貨を投入すると…(提供:Royz昴さん@royz_214_subaru)
新宿東口のライオン像に硬貨を投入すると…(提供:Royz昴さん@royz_214_subaru)
天王寺動物園にもあるぞ(天王寺動物園の公式サイトより)
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 街角にライオン像がある。ああ、ライオンだね。ライオンがいるね。なんたってここは「心の絆・ライオンひろば」だものね。大半の人はそんなふうにただ通り過ぎるだけなのだが、このライオン像、実はただの像ではないのである。

 「新宿駅東口にあるライオン像って

  実は募金箱になってて、お金入れたらお礼言われるって知ってた?」

 4月初旬、ツイッターのそんな投稿が注目を集めた。投稿主は、今年で結成10周年のヴィジュアル系バンド「Royz」のヴォーカル、昴さんだ。添付された動画には、ライオンの口の部分にある投入口から硬貨を入れると、ライオンが「ガオオオ」と吠える声に続き、「ありがとうございます」という女性の音声が流れる様子が写されていた。地方出身の昴さんは「ただの像だと思っていたので、募金の仕組みがあるとは知らず驚きました」と話す。

 調べてみると、このライオン像は東京新宿ライオンズクラブが設置したもので、「お金を入れると吠える」ことはこれまでに何度もネットで話題になっているらしい。同クラブの「お問い合わせフォーム」からいくつか質問を送ってみたところ、会長の伊藤春雄さんから即座に返信があった。ありがとうございます。

 -この像はいつから置いていますか。

 「2000年4月25日に東京新宿ライオンズクラブ40周年記念事業として設置し、除幕式を行いました」

 -なぜこのような仕掛けを考えたのですか。

 「以前この場所には花時計を設置していましたが、歴史的役割を終えたと考え、後継として、社会奉仕に役立つモニュメントであり、かつ人々の待ち合わせ場所として『ライオン像ひろば』を整備することにしました」

 「ライオン像の中には義援金箱を設け、善意の浄財を寄せられるようにしました。口から硬貨や紙幣を投入すると、センサーが感知して『ウォー』と感謝の雄叫びをあげます」

 -ネットで話題になっていることについてはどう思われますか。

 「特に若い人々に認知されることは喜ばしい限りです。ライオンズクラブは、若い人には『ライオンズマンションの関係団体』とか『埼玉西武ライオンズ球団の関係団体』などと勘違いされることもあります。ライオンズクラブが世界最大の奉仕団体であることを皆さんに知って頂くことは、大変光栄なことだと感謝しています」

 -寄付金の使途は。

 「大規模災害の被災地へ義援金としてお送りします。最近では、東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨、北海道胆振東部地震など、多くの被災地へお届けしました。その他、青少年の育成、具体的には『新宿区少年サッカー大会』など地元のスポーツ大会、子ども食堂支援などにも使っています」

  ◇    ◇

 …と、ここまで書いておいてアレなのだが、昴さんへのリプライの中に「大阪の天王寺動物園にもある」との情報が。同園の職員に確認すると確かに存在し、吠え声の後「ありがとうございます、おおきに」という音声が流れるらしい。動画で確認すると、こちらは男性の声のようだった。

 ちなみにこれもライオンズクラブからの寄贈で、青い地球から上半身が飛び出した状態のちょっと不思議な形をしている。そういえば新宿のライオン像も、よくよく考えたらなんでライオンがピラミッドから飛び出しているのだろう。そしてライオンズクラブのライオン像は、なんで吠えたり喋ったりしがちなのだろう。考えさせられます。(神戸新聞・黒川裕生)

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