内田春菊が亡き盟友に捧げる百恵さんカバー曲 15日に渚ようこさんを送る会で追悼唱

亡き盟友・渚ようこさんへの思いを語った内田春菊=東京・渋谷
渚ようこさん(撮影・森山大道)
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 漫画家、小説家、女優などマルチに活躍する内田春菊が13日、デイリースポーツの取材に対し、亡き盟友のお別れ会に歌手として出演する思いを語った。

 内田は、昨年9月28日に急逝した歌手の渚ようこさんと「姫“qiqi”姫(きき)」というユニットを2011年に結成。昭和歌謡のカバーやオリジナル曲を歌った。活動は同年だけとなり、16年にパーティーで一緒に写真を撮ったのが最後になったという。

 内田は「渚さんから『また、やりたいね』と電話をくださっていたんですけど…。(訃報を知らされた時は)ポカーンとして。今もまだ、ちょっとポカーンとしているんですよね」と心境を明かす。

 渚さんの死の9日前、2人を結び付けた“恩師”がこの世を去っていた。ユニット名だけでなく、内田にとって「春菊」というペンネームの名付け親であるプロデューサーの秋山道男氏。1984年の漫画家デビュー前から後押ししてくれた存在だ。秋山氏は当時、チェッカーズや小泉今日子、無印良品のコンセプトを編集者的な感覚で打ち出してヒットさせた時代の寵児(ちょうじ)でもあった。

 内田は「『渚さんと何かやんなさい』と言ったのは秋山さん。『ロックンロール・ウィドウ』(山口百恵)や『ざんげの値打ちもない』(北原ミレイ)といったカバー曲は渚さんと秋山さんが選曲し、オリジナルは私が作詞をして。交互に1人で歌ったり、組んで歌ったり」と振り返る。

 その秋山氏と渚さんがリンクする映画がある。ブルーリボン賞で作品賞、監督賞(白石和彌)、主演女優賞(門脇麦)にノミネートされている「止められるか、俺たちを」(18年10月公開)だ。映画監督の故・若松孝二氏が設立した若松プロダクションを描いた作品で、1969年当時、若松組で俳優や助監督、音楽担当などで活躍した秋山氏も劇中で描かれており、渚さんは挿入歌を歌っている。

 内田は同作を特集した映画雑誌で秋山氏の追悼文を頼まれていた。「書いている途中で渚さんも亡くなられてしまい、編集者からそのことにも触れてくださいという連絡があって…」。加筆した文章の最後には、やり切れない思いを込めた。

 「渚ようこを送る会」は15日に東京・渋谷のTSUTAYA O-WESTで開催。PANTA、三上寛、85歳の名優・山谷初男から、「止められるか~」で音楽を担当した同世代の曽我部恵一、半田健人、タブレット純ら親交のあったゲストがライブを行う。また、渚さんと共演した元ピチカート・ファイヴの野宮真貴やクレイジーケンバンドらがVTR出演。写真家・森山大道氏が撮影した渚さんの巨大なポートレートも数点展示される。

 「『姫姫』で私は衣装をいくつも作りました。今回、着る衣装もその時の服です。阿久悠さん作詞の曲を歌って、しんみりした後に『ロックンロール・ウィドウ』を歌います。ようこさんには独特のギャグセンスがあった。それを大まじめにやって…という感じが好きで」。同じ月に旅立った盟友と恩師が天国から見守る中、1人の“姫姫”として8年ぶりのステージに立つ。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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