なぜ大晦日に「年越しそば」と「除夜の鐘」 その由来とは?

なぜ大晦日に「年越しそば」を食べるのか?(C)BRAD-Fotolia
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 大晦日といえば、年越しそばを食べ、NHK「紅白歌合戦」を見て、除夜の鐘を聞く-こんな感じで幾度新年を迎えてきたことか。これが一般的日本人の典型的な大晦日の過ごし方と言えよう。ではそもそも「年越しそば」と「除夜の鐘」とは何なのか?意外と知らない年末の“風物詩”の歴史を改めて振り返りたい。

 まず、なぜ大晦日に「年越しそば」を食べるのか?一説によると、この習慣は江戸時代中期に江戸商人の間で始まったと言われている。商家の奉公人は月末に帳簿を締めるのに忙しく、夕食をとれないため、夜遅くにそばを食べたことが始まりだったとのことだ。

 また、そばは細く長いので、長寿を表す食物として捉えられているところから、長生きするための験担ぎとの説もある。ちなみに、大晦日に、そばを食べ残すと、その人は翌年小遣いが足りなくなる-という言い伝えもあるようだ。

 金銀細工職人が由来との説もある。仕事場に飛び散った金粉を、そばを練って作った団子で集め、その団子を焼いて金粉を取り出したことから「蕎麦は金を集める」という縁起の意味もあったとか。実際当初は、大晦日に団子を食べていたようだが、やがて現在のそば切りを食べるのが一般的になったという。

 地方によっては、年越しそばの薬味に、きざみねぎを添えるところもある。これは、ネギの語源が「ねぐ」からきていて「祈る」という意味があるから。ネギを添えることで“長寿や金運を祈願する”ということだ。

 東京で「そば」と言えば「深大寺そば」。江戸時代、小作人がそばを作り、米の代わりにそば粉を寺に納め、寺では、そばを打って来客をもてなしたのが始まりとされている。深大寺周辺は、元祖「嶋田家」を始めとして「八起」「矢田部茶屋」「鈴や」などがずらり。今でも「大晦日は、年越しそばを食べて深大寺に新年のお参りする人で毎年大変な賑わいをみせています」(そば処のおかみさん)とか。

 ではなぜ除夜の鐘は108回なのか?これは中国の宋の時代から始まったもの。一説では、人間が過去、未来に渡って持つ「百八つ」の煩悩を打ち破って、罪業(ざいごう)の消滅を祈るためとも言われている。

 12月31日は、旧年と新年の境目であり、その夜は別名「大晦(つごもり)」「除夜」「年越し」などと呼ばれてきた。新年の年神様が来るのを寝ないで待つ日でもある。かつては、日没を一日の境としていたので、大晦日が暮れるとともに、新年となった。この夜、神社では、境内でかがり火を焚き、夜を徹して神主が、罪や穢れを清める大祓(おおはらい)を行い、寺院では、午前零時を前にして、除夜の鐘が突かれる。前述のように、年をまたいで108回鳴らすのが日本の伝統だ。

 時代の移り変わりとともに日本人のライフスタイルも大きく変化してきた。現代では年越しも人によってさまざまだが、たまには“典型的な過ごし方”もいかがだろうか?(デイリースポーツ特約記者・二階堂ケン)

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