「日韓戦」eスポーツでも熱戦!ゲーム先進国の韓国~年収5億円のプロゲーマーも

会見で友好的に健闘を誓い合う韓国(前列)と日本(後列)のゲーマーたち=都内
白熱するeゲームの日韓戦。選手に動きはないが、モニターでは激戦が繰り広げられている=都内
ゲーム中、会心の笑みで喜びを表現するゲーマーたち
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 アジアのスポーツを語る上で「日韓戦」は特別な意味を持つが、eスポーツでも熱戦が繰り広げられている。5月、リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル(以下クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ アジア」に出場する選手の会見と試合が都内で行われた。その機会に、韓国がゲーム先進国となった背景を専門家に聞いた。

 モバイルゲーム開発会社「スーパーセル」のeスポーツ担当、クリス・チョー氏は「PCカフェ」(韓国語ではPCバン)の普及を要因として挙げた。

 「1990年代後半にPCカフェができ、そのタイミングで『スタークラフト』というゲームが出てきて、ゲーム人口が急増した。韓国のPCカフェは1時間100円以下という安価でプレーできる。どの街にもあるのでアクセスしやすい」

 筆者は99年から2000年代前半にかけて何度かソウルに滞在する機会があり、街中のビルに乱立する「PCバン(カタカナ部分はハングル)」の看板が印象に残った。日本のネットカフェとの違いは「対戦型オンラインゲームに集中できる環境」にあるという。

 会見に臨んだ韓国のウィチャン選手は「他のスポーツと同様に、クラロワの日韓戦でも勝ちたい」と決意表明。ゲームを始めた時期を質問したデイリースポーツに対して「99年です。僕が中1の頃でした」と、そのキャリアがまさにPCカフェの隆盛とリンクしていることを明かした。

 チョー氏はもう1つの要因としてメディアへの露出を指摘した。

 「韓国のケーブルテレビではeスポーツに特化したコンテンツ番組があり、プライムタイムでも視聴されて浸透した。『ゲーマーは10代の男の子が多い』という一般的な偏見があるが、韓国では女性ファンの人口も多い。今、世界で一番大きなゲーム市場は米国で、NBA、MLB、NFLといったメジャースポーツのチームがeスポーツ事業に参加したことが大きいが、韓国も携帯通信会社などが参入し、eスポーツ市場が成熟している」

 注目されるのが韓国プロゲーマーの収入。同氏は「平均額を出すのは難しいが、日本円でいうと、最大で(年収)5億円を稼ぐ人もいます」と明かした。

 3日間に渡って行われた試合は日本勢が通算7勝1敗で完勝。その様子は日韓中英4カ国語のYouTubeで流され、韓国のケーブルテレビでも放映された。躍進した日本勢は10代から20代前半の選手が多い。韓国のハウル選手は「日本の選手は実力があって学ぶことが多いです」と敬意を表していた。

 「クラロワ」は8月のジャカルタ・アジア大会の公開競技として採用されるeスポーツの1つに入った。先を走ってきた韓国に対し、今回、実力を証明した日本の若い世代が立ちはだかる。楽しみな展開になってきた。(デイリースポーツ・北村泰介)

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