森保ジャパン涙の終戦 指揮官「足りないことはなかった」 延長まであと1分…分厚かったブラジルの壁

 ブラジルに敗れ、肩を落とす日本の選手たち(撮影・中田匡峻)
国歌斉唱で目頭に涙をためる森保一監督=ヒューストンスタジアム(撮影・中田匡峻)
 試合終了間際、マルチネリ(右)に決勝ゴールを許す冨安(共同)
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 「北中米W杯・1回戦、日本代表1-2ブラジル代表」(29日、ヒューストン)

 優勝を目標に掲げた森保一監督(57)率いる日本代表が、「王国」に善戦しながらも散った。1次リーグF組2位の日本はC組1位で最多5度の優勝を誇るブラジルに1-2で逆転負け。前半29分にMF佐野海舟(25)=マインツ=のゴールで先制したが、後半11分にカゼミロのヘディングで追い付かれると、追加タイムにマルチネリの得点を許した。3大会連続5度目の決勝トーナメントでも初勝利は遠く、過去最高のベスト16には届かなかった。

 スタジアムを埋め尽くした黄色いユニホームが歓喜に沸いた瞬間、“終戦”を告げるブラジルのゴールに、サムライブルーの戦士たちは膝をついた。6分の追加タイムはすでに5分が経過。すぐに立ち上がれた選手はわずかだった。「あっけなく終わった」。目の前でゴールを許した冨安の言葉が、優勝を目指したW杯で32強での敗退に終わった現実を表していた。

 前半は王国相手にひけを取らない試合運びだった。ハイプレス、ミドルブロックを使い分けて隙のない守備網を敷くと29分、中盤でボールを奪った佐野が一気に前線へと運び、自らミドルシュート。森保監督が志向してきた「いい守備からいい攻撃」を体現する衝撃のゴールで先制に成功した。

 だが、ブラジルがサイドからのクロス攻撃にかじを切った後半、危険なシーンが増加。冨安の顔面セーブ、鈴木彩の親指セーブなど執念の守りを見せるが、同11分に失点。最後は田中の痛恨のボールロストから、勝ち越しゴールを許した。

 本気のブラジルは強かった。互角に渡り合う時間帯はあったものの、勝利までは遠い。シュート数は日本の5本に対してブラジルは19本だった。「差があることが事実、埋めなければいけない」。いい守備でボールを奪ってもすぐに奪い返され、「攻」に転じる際の精度の低さを突きつけられた。

 4年前、敗退したカタールの地で森保監督は「みんなで最高の景色を目指す」と呼びかけた。2期目は「ダークホース」としてW杯優勝を目指すことを公言。86人もの選手を招集し「2チーム分」の分厚い選手層を作り上げ、次々と強豪国を撃破。体制としては、W杯を知る長谷部、中村コーチを招聘(しょうへい)したほか、本大会ではサポートメンバーの吉田、メンター役の南野を帯同させ、「(プロセスに)足りないことはなかった。あれば教えてもらいたい」と手を尽くした。

 8年間の集大成で向かっても届かなかった新しい景色。自身の去就は不透明だが、日本サッカー界はこれからも歩みを止めない。「どこかで歴史の扉が開くことを夢見て、地道にやっていかなくてはいけない」。二度寝するように、夢は何度だって見てもいい。ヒューストンの悲劇が、未来への糧となる。

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