「最低限の結果」も受け身だった森保監督の選手交代 能動的な采配でさらなる底上げを

 日本代表は7日(日本時間8日)、W杯カタール大会アジア最終予選第2戦で中国を1-0で下し、初勝利を挙げた。過酷な戦いが続く最終予選で「最低限の結果」を得た一方で、W杯8強以上を掲げる日本にとっては物足りなさも残る試合だった。負傷者の影響もあって困難な交代策を強いられたが、W杯本大会に向けた底上げを図るためにも、森保一監督(53)にはより能動的な采配、選手起用が求められる。サッカー担当キャップの山本直弘記者が中国戦の課題に迫る。

 負の流れはひとまず断ち切った。初戦黒星の失態を繰り返すことなく連敗を回避し、森保監督は「選手たちが反発力を持っていた」と安堵(あんど)したが、吉田や大迫、柴崎が口をそろえた「最低限の結果」という言葉に、煮え切らない思いが見え隠れした。

 日本は「W杯8強以上」を掲げている。一筋縄ではいかない最終予選とはいえ、突破のみを目標とするフェーズにはない。本大会で16強の壁を打破するためには、最終予選ですら底上げの場とする側面も求められる。

 底上げのためには場数が必要だが、森保監督の采配は選手を信頼する実直な人柄のあまり、極めて手堅い。現在は5人の交代枠が与えられ、ハーフタイムを除く3回の交代が認められているが、オマーン戦に続き中国戦でも3回の交代で1人ずつ交代しため、2人の交代枠を残した。

 中国戦の選手交代は古橋、長友の負傷という“受け身”の事情だった。森保監督は「勝ち切るためにパワーを上げていく交代」と説明したが、ピッチに変化は描かれなかった。

 例えば1点リードの後半31分に伊東と鎌田を交代した際、明らかに疲れの見えていた大迫に代えてオナイウも併せて投入していれば、「2点目を奪って試合を終わらせる」という明確なメッセージとなったかもしれない。オナイウに貴重な最終予選のピッチを踏ませることもできた。

 昨年11月のメキシコ戦でも表出した問題だが、森保監督率いる日本は前半を優位に進めながら、後半に相手が変化を加えると対応に苦慮する傾向がある。攻勢に転じた中国をいなしながら1-0で締めくくった試合運びは評価に値する。一方で選手の自主性を重んじるばかりではなく、指揮官が布陣変更や選手交代を仕掛け、能動的な采配で戦況を一変させる姿も見てみたい。

 20歳の久保建をトップ下で先発起用し、最終予選でも通用する目処を付けるなど底上げも当然進めているが、大迫や長友の代役もしくは後継者の問題には明白な答えを示せていない。結果と底上げの両輪を加速させないことには、W杯ベスト8に近付くことは容易ではない。

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