怪物尚弥拳在V1 最強挑戦者をTKO

 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(29日、有明コロシアム)

 ダブル世界戦が行われ、WBOスーパーフライ級王者の井上尚弥(22)=大橋=が、右拳を故障した昨年末の世界戦以来の試合に臨み、同級1位ワルリト・パレナス(フィリピン)に2回TKO勝ちで初防衛に成功した。

 見事すぎる復活劇だった。2回、モンスターが猛然と牙をむいた。ガードの上から右ストレートをたたき込み、最初のダウンを奪った。ダメージの色濃い挑戦者を逃さない。連打から左フックでフィニッシュだ。

 「一年間、お待たせしました。死にものぐるいで練習してきたので、結果が出てよかった。前回同様、パーフェクトな試合だった」と、会心の笑みを浮かべた。大橋秀行会長は「2試合連続でガードの上から倒した。スーパーフライ級で見たことがない」と舌を巻き、父でトレーナーの真吾氏は「6ラウンドくらいやりたかったな」と、苦笑いしたほどだった。

 世界に衝撃を与えた、昨年暮れの世界最速2階級制覇。だが、同時にKOした右拳にも強烈な衝撃が走っていた。右手甲の脱臼、症状はWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、内山高志(ワタナベ)と同じだった。

 「内山さんにもアドバイスをもらいました。手術した方がいい、と」。大橋会長も「先は長いし、完治させる」と、1年間のブランクと引き換えに3月に手術を受けさせた。心身とも苦しかったが、フィジカルと左を徹底的に鍛え「ケガの功名」に変えた。「左は強くなった。分かりやすく言うと、ジャブでも倒せると思う」と言うほどだ。

 今月1日には、高校時代から交際していた女性と結婚した。「試合まで1カ月切っての決断だったので、一層負けられなかった。苦しい時に支えてもらったし、感謝の言葉しかない」と話した。

 井上は「しばらくスーパーフライ級で戦う。どんな挑戦でも受けるし、統一戦も考えている」と明かした。大橋会長は「次は国内。ナルバエスとの再戦もあるかもしれないし、流動的に考えている。その次はラスベガスになると思う」と、青写真を披露した。

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