三浦、亡き父へKO戴冠「やったよ」

 「WBC世界Sフェザー級タイトルマッチ」(8日、両国国技館)

 WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチは、挑戦者の同級10位三浦隆司(28)=帝拳=が、王者ガマリエル・ディアス(32)=メキシコ=から4度のダウンを奪って、9回1分21秒TKO勝ちで新王者となった。

 “ボンバーレフト”の爆音が天国まで鳴り響いた。9回、三浦がディアスから4度目のダウンを奪ったところで試合がストップ。寡黙な男は世界奪取に「オヤジ、やったよ!!」と叫んだ。

 圧勝だった。「当たると思っていた」と話す得意の左。同門の粟生隆寛から王座を奪ったディアスの顔面にカウンターで何度も着弾した。3回、6回に尻もちをつかせ、7回には右アッパーでダウンを奪い、最後は左で決めた。1回に偶然のバッティングでディアスが負傷し、ルールによる1点減点をものともしなかった。

 さまざまな思いが込められた2度目の世界挑戦。横浜光ジムに所属していた11年1月の初挑戦ではWBA同級王者・内山高志に完敗した。レベルアップを図るため、世界レベルの選手が居並ぶ帝拳ジムへ移籍した。

 その後、長男・武元くんが誕生したが、今年1月には突然の不幸に見舞われた。故郷の秋田で、父・政志さんが吹雪の中の交通事故により58歳で他界。骨折の診断で入院していたが、数日後に容体が急変したため、三浦は最後をみとれなかった。

 三政直のリングネームで日本王者に2度獲得した叔父にあこがれ、ボクシングを始めた中学時代。父は車で練習の送り迎えをするなど、理解を示してくれた。この日は、母・久子さんが遺影を持って応援。三浦は「勝ちを見せられなかったが、後押ししてくれたと感じた」としんみり。勝利の瞬間は父の顔が思い浮かんだという。

 苦杯をなめさせられた内山と同じ肩書を得た。「機会があれば(統一戦を)やりたい。あのときは手も足も出なかったが、今は勝つ自信がある」と雪辱に意欲。王者にふさわしい力を見せつけた三浦の進撃が始まる。

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