デビュー半年のウルフアロン、祭典G1出場で醜態も覚悟「ボロ出てもやり切る」志願背景に30歳の焦燥感「ちんたらやってる時間ない」3団体所属の同学年王者と“メシ友”で刺激も【インタビュー】
新日本プロレスのシングル最強を決める真夏の祭典「G1クライマックス36」が日本時間12日に米シカゴで開幕し、18日の札幌大会で国内開幕戦を迎える。NEVER無差別級王者のウルフアロン(30)は初出場し、開幕戦で歴代最速となるデビュー6カ月でのG1初勝利を挙げた。自ら志願して出場権を獲得し、デビュー年としては史上2人目のG1出場を果たしたウルフは開幕直前にデイリースポーツのインタビューに応じ、「先輩9人とシングルマッチができるってだけで得られるものしかない。(試合が)しょっぱかろうが、ボロが出ようが、(この過酷な戦いを)やりきらないと俺は次の段階に進めない」と、醜態をさらしてでも現在位置を確かめるための覚悟を口にした。(取材・構成=藤川資野)
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-昨年までは見る側だったG1クライマックスのイメージとは。
「濃い…ひたすら濃い1カ月ですよね。柔道でいう(毎年4月に体重無差別で日本一を争う)全日本選手権みたいなものですよね。その年、1番強いヤツを決めるっていう。もちろん(IWGPヘビー級の)ベルトを持ってる人が新日本の顔ではありますけど、全員が総当たりで戦ってリーグを勝ち上がらないといけないので、ごまかしが効かない。丸裸にされてしまう戦いだと思います。もういいですか?お疲れっした!」
-いやいやいや(笑)。G1の意気込みなどを教えてください。
「もう言わなくてもわかるんじゃないですか?僕の言いそうなことを逆に考えてみてください(笑)」
-「もちろん優勝は狙いますが、トップ選手とのシングルマッチを経験して今後に生かしたい」とか。
「うーん…(首をひねる)」
-あとは「NEVER無差別級王者として恥ずかしい試合はできない」とか?
「それは言わないですね。恥ずかしい試合をしていいと思ってますから、僕は」
-なるほど。では改めて、悲願だったG1出場を決めた心境はどうですか。
「まあ最高ですよね。最高。やっぱり先輩9人とシングルマッチができるってだけで、僕からしたら得られるものしかない。もちろん、その上で勝てたらこの上ないですけど、自分自身が今どのくらいの立ち位置にいるのかを認識するためにも、この選手たちと戦えるのは僕のプロレスラー人生としてはすごく大きい。しかも1年目でやれるっていうことで、おそらく今後の(プロレスラーとしての)成長速度も変わってきますから」
-同じBブロックにはIWGPを戴冠しているザック・セイバーJr.選手、カラム・ニューマン選手もいる。
「そこにIWGPグローバル王者(ゲイブ・キッド)もいますからね。全員気になります。(2度シングルで対戦している)成田蓮以外の選手はシングルでやったことがないので、楽しみが大きいです」
-ザック選手とは今月2日の8人タッグ戦で初めて手を合わせた。
「動きが僕の(プロレスの試合で)やってきた動きじゃなかったです。関節をガンガン狙ってきたり、思ってもない方向から、こっちが技をかけようとしたら腕を取られたりするので。でもG1前にやれてよかったです。前哨戦で対戦相手と肌で触れ合うことが、G1で戦う上で何かのきっかけになるんじゃないかなと」
-デビュー年のG1出場は史上2人目。
「やれることは全部やりたいですよね。もちろんボロも出ると思いますよ。まだ半年だし、うまくいかない部分もあると思います」
-そういう意味では、さっき「恥ずかしい試合をしてもいいと思っている」というのも本心だと。
「そうです。自分の長所、短所をしっかりと理解するためにも、(さまざまな相手と)1回試合をしてみないとわからないところもあるので。100回の練習よりも1回の試合(の経験が糧になる)。それをシングルで(少なくとも)9回戦えるのは僕からしたら得しかないですよ。まあ、見る側からしたら『ウルフ、しょっぱい試合すんな』って思われるところもあるかもしれないですけど、うまくいかないのも当たり前だと覚悟しているので。練習でやってきたことを全部出しても、うまくいかないことも絶対ありますから。柔道だって最初は自分より強いやつに向かっていって、最終的にはそいつを倒せるとこまでいくわけじゃないですか。そりゃ最初はボコボコにされますよ。でも、そいつら(トップ選手)を倒すためには(直接対決を)やんなきゃ勝てないわけですよ。しょっぱかろうが、ボロが出ようが、やりきらないと俺は次の段階に進めないんですよ」
-そういう意味でも、6月23日のG1出場者決定戦でのYOSHI-HASHI選手との真っ向勝負に勝てたのは大きかったのでは。
「マジで自信になりましたよ。俺、ちゃんとシングルできるんだって思いましたし。ただ、ダメージも大きかったので、(過密日程の本戦では)ああいう試合を連続でできないかもしれないから、気をつけなきゃなと。それもわかったので予選をやれたのがよかったです。全部がいい方向に転がっていってますね」
-1月のデビュー以来、極悪軍団「ハウス・オブ・トーチャー」との抗争が続き、シングルでもEVIL、成田蓮、ドン・ファレと反則や介入などが当たり前の試合を強いられた。
「もちろん、こういうプロレスもあるよってことで学ぶこともたくさんあったんですけど、正直『プロレスってこんなんだっけ?』っていうのはありました。僕が好きで見ていた新日本プロレスの戦いとは違ったので」
-6・14大阪城ホール大会で成田からNEVER王座を奪還し、G1出場を直訴した。30歳という年齢的な焦燥感も口にした真意は。
「(年齢的な焦りは)入団当初から思ってましたよ。見る側は新人と思ってくれるかもしれないですけど、(高校や大学卒業後すぐに入団した)ヤングライオンと同じようにやってたら、僕は(キャリアが)早めに終わってしまうので。プロレスラーって長い人は50過ぎてもやってますけど、本当にトップ戦線でやれる全盛期と考えると45前後だったりするじゃないですか。そうなったら僕は今年31歳(の学年)なので、ちんたらやってる時間はないなっていう気持ちはあります」
-だからこそ1年目からG1に出たいと。
「絶対、絶対に必要でしたね。今年G1に出るか出ないかで(今後のキャリアが)大きく変わると思ってましたから」
-改めて、プロレスラーとしてデビューした半年間を振り返って。
「やれることは全部やったと思いますよ。うまくいかなかったとこもあるけど、巡業も参加して、いろんな先輩からアドバイスも聞いて、自分の血にして肉にして。そういう風にやっていくしかないじゃないですか。入社1年目の新人が『俺がやってることが正しい』と思ってやっていても、周りから見たら『お前まだまだ全然できてないよ』ってなるじゃないですか。どの業界でもそれは一緒ですよ」
-昨年のG1覇者で3団体所属のKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)選手が新日本で同じ本隊に入った。同学年ながら、向こうは高校生でデビューしてキャリア14年。刺激になることは。
「めちゃくちゃ刺激はありますよ。竹下さんも僕のことをすごく見てくれてて、なぜか僕のラジオ番組も毎回聴いてくれていたり。情報交換もできるし、プロレスラーとしてはもう大先輩で、日本人の中ではトップのプロレスラーじゃないですか。今日本人で1番すげえプロレスラーっていったら(ともに米AEWで活躍する)オカダ・カズチカ、竹下幸之介ってなると思うんすよ。そういう方と一緒にご飯に行って、プロレスやそれ以外の話も結構するんですけど。あと竹下さんはめちゃくちゃグルメなんで、僕もおいしいものが好きなんで、『地方で2人でメシ行きましょう』って言ってくれたり。学ぶことも多いし、刺激になってますね」(終わり)
◆「G1クライマックス36」出場者〈Aブロック〉竹下幸之介(3年連続3度目)、後藤洋央紀(2年ぶり18度目)、ジェイク・リー(2年ぶり2度目)、ボルチン・オレッグ(3年連続3度目)、大岩陵平(2年連続2度目)、辻陽太(4年連続4度目)、鷹木信悟(8年連続8度目)、SANADA(11年連続11度目)、Yuto-Ice(初出場)、グレート-O-カーン(6年連続6度目)
〈Bブロック〉海野翔太(4年連続4度目※19日から全試合欠場)、上村優也(3年連続3度目)、ザック・セイバーJr.(10年連続10度目)、カラム・ニューマン(3年連続3度目)、成田蓮(4年連続4度目)、ドリラ・モロニー(2年連続2度目)、ゲイブ・キッド(4年連続4度目)、HENARE(2年ぶり4度目)、ウルフアロン(初出場)、OSKAR(初出場)
※各上位2人が決勝トーナメントに進み、8・15両国で準決勝、8・16両国で決勝
