有終の武尊「生きて帰れてよかった」最終戦前は毎日“悪夢”「失神したり、足を骨折したり…」最終ラウンドはノーガード「もっとパンチもらいたいと」
「ONE SAMURAI 1」(29日、有明アリーナ)
K-1元3階級制覇王者の武尊(34)が劇的な勝利で有終の美を飾った。引退試合となるONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦に臨み、昨年3月にわずか80秒で敗れていたロッタン(28)=タイ=との再戦で、5回TKO勝利で雪辱。計4度ダウンを奪う圧倒劇でONEでの悲願の初タイトルを戴冠後、「次の格闘技界を引っ張る選手に託したい」とベルトとグローブを置いてリングに座礼した。試合後の会見では「試合前に弱音は吐きたくなかったが、毎日自分が失神している夢とか、足を骨折している夢とかを見ていた。みんなの期待を裏切っちゃうとか。だから、生きて帰れてよかった」と実感を込めた。
武尊は2014年以降の“新生K-1”を象徴するエースとして3階級を制覇し、22年6月には東京ドームで実現したRISE王者・那須川天心(27)との世紀の一戦で敗れた。その後、休養を経て現役続行を選択し、海外団体のONEに主戦場を移していたが、タイトルには届いていかなかった。「ONEに来て、自分の弱さを認識できた。ONEで感じた弱さや、体が壊れているところ、弱いところをちゃんと認識した上で、それに合った戦い方、体づくりを最後にバチッとはめられたかな。今日までで体を使い切って、壊れてもいいと思ってやったきた」。
ロッタンとのリベンジマッチで、不気味なほどの笑みを浮かべながら前進して打ち合い、計4度もダウンを奪って最高の形でTKO勝ちを飾った。昨年3月に敗れた際には、事前の練習で肋骨(ろっこつ)を骨折した影響も否定できず、悔いが残る内容だっただけに、最後に真骨頂を発揮した。
最終ラウンドはほぼノーガードで攻撃にいったが、「(現役ラストは)殴り合いたいなと(笑)。勝ちたい(気持ち)はもちろんあるが、小学生で格闘技を始めて、このラウンドで終わっちゃうんだと。勝ちたいけど、ロッタンのパンチをもっともらいたいなと」と、述懐。「(まだ)やれるならやりたいが、今日このリングに立てるかもわからないくらい、体が持つのかという不安が大きくて。今日で(心身を)使い切ったかなと。そんな感じです。格闘技と出会ってなかったら、ろくでもない人生だったなと思うし、最高の人生にしてくれたのは格闘技のおかげなので、感謝しかない」と、涙を浮かべながら万感を込めた。
