桑原拓 またも王座奪取失敗 悔し4回TKO負け「今は何も考えられない」右眼窩底骨折の疑いで病院へ
「ボクシング・WBO世界フライ級タイトルマッチ」(17日、両国国技館)
WBO世界フライ級タイトルマッチは、挑戦者の桑原拓(30)=大橋=が王者のアンソニー・オラスクアガ(米国)に4回TKOで敗れ、王座奪取に失敗した。
2度目の世界挑戦となった桑原は、またも夢を打ち砕かれた。強打の王者オラスクアガの猛攻を受け、1回に左ジャブを被弾した際に右目を負傷。「眼窩(がんか)底をやってしまった。ジャブで一瞬見えなくなった。二重に見えて、パニックになった。距離感が分からなくなり、イチかバチか強いパンチを打ったが、消耗した」。
王者のプレッシャーと強打の前に劣勢を強いられ、必死に打ち返したものの、4回にコーナーに詰められて猛攻を浴びてレフェリーストップ。「(相手は)攻撃力、パンチの硬さが今までやってきた中で一番だった」。右眼窩底を骨折した疑いがあり、病院に向かった。
大橋ジムの先輩である4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥からは「チャンスだから頑張れ」と激励を受け、マススパーリングの相手を務めてもらった。「オラスクアガ選手と似た動きをしていただきアドバイスももらった」。尚弥自身が27日にサウジアラビアでの試合を控える中で、この日も入場時から同行して「左のガードを固めて」「気持ちで負けるな」とハッパを掛けられた。
モンスターの後押しも受け、持ち味のアウトボクシングだけでなく1回から前に出て打ち合ったものの、力及ばなかった。またも世界の高い壁に阻まれ「今は何も考えられない」と肩を落とした。
◇桑原 拓(くわはら・たく)1995年4月4日、大阪市出身。大阪・興国高で高校総体、国体の高校2冠に輝く。東農大を経て、2018年5月にプロデビュー。22年10月に東洋太平洋フライ級王座獲得。24年5月に東京ドームでWBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟に挑戦し、判定で敗れた。身長164センチの右ボクサーファイター。
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