那須川天心、初黒星後の会見で23分間“天心節”全開「これも人生」「恥をさらすのもかっこいい」「明日からラジオ」不敗神話崩壊も堂々

 「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)

 同級1位の那須川天心(27)=帝拳=が同級2位の井上拓真(29)=大橋=に判定0-3(111-117、112-116、112-116)で敗れ、世界初挑戦での王座獲得はならなかった。ボクシング8戦目、キックボクシング時代からのプロ公式戦55戦目で初黒星。試合後の会見では目を赤くしながらも平仮名で「ありがとう」と文字が入ったグレーのスエット姿で登場し「これも人生。よりボクシングを好きになれた」などと約23分間にわたって“天心節”をさく裂させ、不変のらしさを示した。

 ついに不敗神話が崩れた。天心は、序盤は距離を取りながらスピードで上回り、1回終盤の左フック、2回には右の連打で拓真をぐらつかせる場面も見せたが、以降は徐々に捕まる場面が目立った。拓真の右フック、右アッパーなどを被弾し、接近戦でも捉えられなかった。ペースを握り返すことができないまま、判定負け。天心はコーナーに戻った時点で負けを確信したのか、瞳には涙が浮かんだ。

 試合後の会見には頬を腫らし、目を赤くしながらも「結果には繋がらなかったけど、悔いはない。出し切ったし、たくさんの方に愛されてるなと感じた。こういう試合ができてうれしかった」と胸を張った。キャリア初黒星を喫したが、「ここから始まるなという感覚になった。なんか、すごく人生おもろいなと思いました。率直に」と天を見上げ、「悔しいが、前を向いていかないといけないし、人前に出てやっている以上、こういうこともいつかあると受け入れてやっている。負けたことで世の中の人がいろいろ言うかもしれないが、自信を持って堂々と一生懸命やってますから。よりボクシングを好きになれた一戦でもある。また明日も人生が続くし、堂々と生きていく。応援してくれた人には勝ちを見せられず、初めての思いをさせて申し訳ない気持ちがあるが、これも人生ですから」と達観した視点で語った。

 敗れた拓真に対してはリング上で深々とお辞儀し「またお願いします!絶対強くなるんで」と伝えたといい、「リベンジしますよ。強くなって」と言い切った。

 質疑応答では、司会者の制止を振り切り、質問がやむまで23分間しゃべり続けた。「無敗にこだわって生きてきたわけではないですから。負けは悔しいが、受け止める器がある。みんなの前で恥をさらすのもかっこいいじゃないですか。一生懸命生きているヤツにしかそういうことはできない。また明日からラジオの生放送がありますから、日々が始まります」。キャリアに「1敗」がついてなお雄弁なボクシング界の異端児は、胸を張って新たな一歩を踏み出した。

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