2月に他界のプロレスラー西村修さんに捧げる勝利 寺地拳四朗「(泥酔騒動で)しんどいときにお世話になった」

 「ボクシング・WBC・WBA世界フライ級王座統一戦」(13日、両国国技館)

 WBC王者の寺地拳四朗(33)=BMB=が、WBA王者のユーリ阿久井政悟(29)=倉敷守安=に12回1分31秒TKO勝ちし、統一王者となった。試合直前に、恩人であるプロレスラー西村修さんが死去。寺地にとって、この日の勝利は天国に捧げる白星でもあった。

 統一戦まで残り5日となった今月8日、寺地の姿は東京都文京区の護国寺にあった。2月28日にがんのため53歳で死去したプロレスラー西村修さんの告別式に参列するため、雪もちらつく寒空の下、最終調整の時間を割いて足を運んだ。気温が氷点下近くまで下がる中、暖房設備こそあったものの、斎場の屋外に設置された座席で1時間以上滞在し、焼香をあげた。

 「僕がしんどいときにお世話になった。すごく恩がある方なので、試合前とか関係なく来させていただいた」

 寺地は2020年7月、泥酔して他人のマンション敷地内に侵入した上、自動車を破損する不祥事を起こした。JBCから3カ月間の資格停止、制裁金300万円、そして社会貢献活動を義務づけられた。どん底にたたき落とされ、引退まで考えたが、最も苦しい時に手を差し伸べてくれた1人が西村さんだった。100時間を超える奉仕活動のうち半分は、区議を務める西村さんの手はずにより文京区で行った。護国寺も清掃やミカン狩りなどで汗を拭った思い入れのある場所だった。

 試合直前で過酷な減量生活は佳境。免疫が下がっており、風邪をひくリスクもある。それでも恩人との最後の別れで義理堅さを示した。「西村さんのためにも絶対に統一したい」。“無我”の境地でベルトを統一し、天国にささげた。(デイリースポーツ・ボクシング担当 藤川資野)

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