井上尚弥 超史上最速2階級4団体統一 怪物の行き着く先は?「どれだけ頑張ってもたどり着けないところ」

 「ボクシング・世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦」(26日、有明アリーナ)

 怪物がまた新たな伝説を作った-。井上尚弥(30)=大橋=がマーロン・タパレス(31)=フィリピン=を10回KOで倒し、史上2人目となる2階級での4団体王座統一を成し遂げた。今年7月に達成したテレンス・クロフォード(米国)以来の快挙で、日本人では初。次戦は、WBAの指名挑戦者である前WBAスーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフ(29)=ウズベキスタン=か、WBCの指名挑戦者である元WBC世界同級王者ルイス・ネリ(29)=メキシコ=のいずれかが有力だ。

 歴史的快挙を成し遂げた尚弥は、割れんばかりの大歓声を背に右拳を力強く握った。最後は圧巻の10回KO勝利で、史上2人目、アジア人として初の2階級4団体統一に成功。しかも最初に達成したクロフォード(米国)が約6年かかったのに対し、わずか1年というスピードで、だ。「タフで気持ちの強い、そんな選手に勝つことができて、自分がやってきたことを証明できてホッとしてます」。怪物は素直に喜んだ。

 倒すのにてこずったが、終始優勢だった。“尚弥劇場”の熱気に包まれる中、3回は右腕を上げ、挑発ポーズの余裕も見せる。そして4回、左右の連打をさく裂させ1度目のダウンを奪った。しかしタフなタパレスも右アッパーなどで応酬。激しい攻防は続いたが10回、尚弥の右ストレートがガードの隙間を縫ってさく裂した。もん絶した相手が起き上がれないことを確認すると、大橋会長と抱き合い喜びを爆発させた。

 7月に2つのベルトを奪取後、4団体統一へ向け、残りの2つのベルトを持つタパレスを照準に合わせてきた。スパーリングでは、攻撃型、防御型、テクニック型、スピード型の世界ランカーらメキシコ人パートナー4人と過去最多の116ラウンド拳を交え、入念に対策。パートナーに「本気でもっと打ってこい!」と周囲がピリつくほどの迫力で、フロア入り口にはついたてを置き、雑音をシャットアウトするほど全神経を“打倒タパレス”に向けていた。

 防御は完璧な尚弥だが左目下に青アザを作るほどの真剣スパー。「どういうタイプでも確認して対応ができた。自信に変えることができた」と父・真吾トレーナーが言うように練習の裏付けが、結果に表れた。

 これで26戦26勝(23KO)。さらに14年4月のWBC世界ライトフライ級王座奪取から世界戦21連勝、日本人1位タイの世界戦21勝目、世界戦通算19KO勝利…。数々の歴史をつくる尚弥は「ここまで来たら、(他の日本人が)どれだけ頑張ってもたどり着けないところまでいきたい」と力強く言い切る。

 次戦はWBC世界同級1位ルイス・ネリ、WBA1位ムロジョン・アフマダリエフらが候補に挙がる。「今の適正体重はスーパーバンタムだと思っている。来年、再来年とこの階級でさらに強さを見せられるようにしたい」。スーパースターは強者の歩みを続けていく。

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