井上尚弥「最高の試合をするだけ」 “パッキャオ2世”ドネア撃破で未来切り開く

 「ボクシング・WBSS決勝、WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ」(7日、さいたまスーパーアリーナ)

 前日計量が6日、都内で行われ、階級最強を決めるワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝に臨む井上尚弥(大橋)はリミットの53・5キロ、ノニト・ドネア(フィリピン)は53・3キロで一発クリアした。尚弥は「今後の大きな試合に向けての第一歩」と、優勝して米大手プロモーター、トップランク社との契約につなげる強い意欲を示した。

 バンタム級最強の称号を手に入れて、アジアの英雄への道を突き進む。計量を無事にパスした尚弥は、ドネアと写真撮影のために約20秒にらみ合った後、紳士的に握手。壇上で「明日は最高の試合をするだけ。最高の気持ちです」と、大一番へ気持ちを高ぶらせた。

 世界5階級制覇のドネアと世界一を争う一戦は、日本ボクシング史上最高の舞台と言える。勝てば得られる物は大きく、「もちろん、満足する試合になると思うし、今後の大きな試合に向けての第一歩になると思うので、しっかり勝ちたい」と目を輝かせた。

 5月に英国で行われた準決勝から帰国したときには、トップランク社から「軽量級では破格。めちゃめちゃいい条件」というオファーを受けていることを明かしていた。優勝すれば契約するとみられており、世界的有力選手を数多く抱える同社のプロモートで、本場米国などでのさらなるビッグマッチのチャンスが巡ってくることは大いに予想される。

 所属ジムの大橋秀行会長は目標の存在に、「(マニー・)パッキャオだね」と、史上2人目、アジア人初の6階級制覇を達成し、1試合で数十億円のファイトマネーを稼ぐフィリピンの英雄の名を挙げた。「アジア人でパッキャオみたいになれる、それを超えられるのは尚弥が一番手。レールを敷いて欲しい」と期待する。そのためには、“パッキャオ2世”とも呼ばれたドネアという壁を突破しなければならない。

 この日は大橋会長の判断で計量後の取材は受けなかったが、大橋会長によると、いつも通り父・真吾トレーナー特製の雑炊などを口にして回復に努めた。3日に行った最終練習では「オレも経験あるけど、最後は減量も苦しくて半分ぐらいの力で汗を出すけど、フルスロットルですばらしい動き。驚いた」と好調そのものだったという。でっかい未来を切り開けるか、運命のゴングはもうすぐだ。

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