【長谷川穂積の拳心論】「打ち合い上等」田中の姿勢が木村の足止めた

 「ボクシング・WBO世界フライ級タイトルマッチ」(24日、武田テバオーシャンアリーナ)

 挑戦者で同級1位の田中恒成(23)=畑中=が、王者の木村翔(29)=青木=に2-0で判定勝ちした。WBOミニマム級、同ライトフライ級に続く世界3階級制覇を達成した。日本人6人目で、日本ジム所属選手では7人目。プロ12戦目での達成は、現WBA世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(30)=ウクライナ=に並ぶ世界最速で、23歳での到達は日本人最年少となる。日本ジム所属の世界王者は5人のまま。

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 【長谷川穂積の拳心論】

 日本人対決の中ではここ数年で一番の内容だった。正面突破の中に多くのバリエーションを持っている木村選手だが、あくまで正面からの強さ。田中選手は正面だけでなく、足を使って横からも攻撃できる。その差が勝負を分けた。

 田中選手が1回から頭をつけて打ち合ったのは意外だった。しかし、この「自分も打ち合うぞ」という姿勢を見せたことが、距離をとった後半に効いた。序盤に近距離で打ち合ったことで、木村選手に「また前に出てくるかも」という残像を植え付け、追い足を止めた。もし、田中選手が最初から距離をとる戦い方をしていれば、相手はちゅうちょせずもっと前に出ただろう。

 井上選手らがいる日本の軽量級は若手の層が厚く、僕は漫画「ONE PIECE」の「最悪の世代」と呼んでいる。田中選手もその一人で接近戦に強いし、足も使えるオールラウンダーだ。スピード、テクニック、手数に、この試合ではハートの強さも証明した。

 日本人同士のハイレベルなつぶし合いは、全体的な底上げのためにもやるべきだと思っている。田中選手もこの先、田口選手ともやれば面白い。ただ、一つ気をつけてほしいのは、打たれ強いため無駄なパンチをもらってしまうこと。長くトップを走るためにも課題にしてほしい。(元世界3階級制覇王者)

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