【長谷川穂積の拳心論】村田選手の左ジャブは左ストレートの威力

 「ボクシング・ダブル世界戦」(15日、横浜アリーナ)

 2012年ロンドン五輪金メダリストのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が同級6位エマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)を8回2分56秒TKOで下し、初防衛に成功した。体重超過のためWBC世界フライ級王座を剥奪された比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=は同級2位クリストファー・ロサレス(23)=ニカラグア=に9回1分14秒TKOで敗れ、プロ初黒星を喫した。ロサレスが新王者。比嘉は当日計量をパスし、試合に臨んだが、懸かっていた16試合連続KO勝利の日本新記録達成もならなかった。

  ◇  ◇

 【長谷川穂積の拳心論】

 初防衛戦は重圧との闘いだ。僕自身も8年前に同じ横浜アリーナで初防衛戦に臨んだが、前夜は緊張のあまり眠れなかったことを覚えている。村田選手はその重圧のかかる初防衛戦で期待どおりのKO勝ちを果たした。

 相手は上体が柔らかく細かい技術で芯を外してパンチを受けるうまさがあった。仕留めるのが難しい相手に対して、左ジャブで序盤から主導権を握った。

 彼の左ジャブはステップや上体でタイミングをずらして打つので相手はよけづらい。しかも、左ストレートと言ってもいいほどの威力がある。それをひたすら打ち続けた気迫が伝わった。相手はカウンターを狙いだし、それまで芯を外されていた右がしっかりと入った。フィニッシュブローは右だが、左を打ち続けたことが勝因とも言える。

 比嘉選手はどういう思いで試合に臨めばいいのかわからないまま序盤を戦っていたように見えた。相手は何が何でも王座を獲ると向かってきたが、比嘉選手は試合前に自分に負けてしまっていた。

 ただ、減量苦の中でこの試合にいいかげんに取り組んできたわけではないことはわかる。若さゆえの失敗はある。失敗すれば罰を受けなければならないが、罰を受けた後は、そこからまたやるしかない。彼ならできると思う。(元世界3階級制覇王者)

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